衆院解散による総選挙の投開票が、先の31日に迫ってきた。

 各地で陣営が投票を呼びかける「お願い」コールが響き渡り、全国的に選挙戦モードの真最中となっている。国政、地方を問わず選挙となると、各政党・候補者によって多額の資金がつぎ込まれるため、投票依頼や票の取りまとめなどで買収資金が乱れ飛ぶこともある。そのため、捜査当局による公職選挙法違反事件の摘発も後を絶たない。

 近年では2019年7月の参院選広島選挙区で、自民党の河井案里・克行夫妻が買収行為で公選法違反の罪に問われ、一審で実刑判決を受けた。先日には、克行被告が東京高裁への控訴を取り下げ、懲役3年、追徴金130万円の判決が確定して話題となった。

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 かつては暴力団組織に票の取りまとめの依頼が寄せられ、多額のカネが動いたことも多かった。一部の暴力団が、ある種の「集票マシーン」となっていたこともあったという。一方で、集票面だけでなく、暴力団側に政治資金集めのパーティー券の購入を依頼するなど、政治家が“カネ集め”でもヤクザに依存していたケースもある。政治の世界とヤクザの世界には、「水面下のつながりがあった」という証言もある。(全2回の2回目/前編を読む

写真はイメージ ©️iStock.com

暴力団幹部が「パーティー券の購入を依頼された」

 首都圏に活動拠点がある指定暴力団のベテラン幹部は「議員が開催する政治資金集めのパーティー券を買わされたことが何度もあった」とかつての経験を打ち明けた。

「パーティー券は1枚につき1万円とか1万5000円ぐらいの値段だった。これを5枚とか、場合によっては10枚ほど買わされる。もちろん券を買うだけで、パーティー自体には出たことがないが…。いずれも議員本人の関係者や、公共工事の受注などで議員のセンセイたちに世話になっているであろう建設関係の事業者たちから頼まれることが多かった。正直、こちらとしてはあまりメリットがないが、付き合いの延長だ」

 このベテラン幹部も「相手はこちらがヤクザだということを知ったうえで頼んでくる」と述べる。また、パーティー券の購入だけでなく、ほかにも「演説会の盛り上げでひと役買ったこともある」と言う。

「ある候補者の支援者という人に頼まれて、若い衆を集めて候補者の演説会が開催される地域のホテルや公会堂などの会場に、『支援者だ』と称して詰めかけた。言ってみればサクラだな。一通り候補者の演説が終わると拍手して盛り上げたりもしたよ」