2020年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。社会部門の第3位は、こちら!(初公開日 2020年7月5日)。
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新宿・歌舞伎町で働く女性をスカウトする男性たちが、暴力団関係者に襲われる「スカウト狩り」が問題になっている。
その背景には、暴力団業界の「女はカネになる」という認識がある。ヤクザと女をめぐっては、スカウト業だけでなく、恐喝、売春、美人局など話題は尽きない。
実際に起きた「ヤクザと女」の事件
交際相手の秋葉原のメイドカフェに勤める女性店員をめぐって、同店の男性オーナー(29)から現金200万円を脅し取ろうとした指定暴力団稲川会系幹部の男(44)が6月上旬、警視庁に恐喝未遂の疑いで逮捕された。
組幹部の男は2019年11月、この女性店員をめぐってオーナーとトラブルになっており、「ヤクザの女に手を出したら分かっているのだろうな」とのセリフで脅していたという。
コワモテの男が突然現れて、「オレの女に手を出したな」と脅し、多額の金品を要求される――これが、世間一般の想像する典型的な「ヤクザと女」をめぐるトラブルだろう。
近年では、出会い系サイトで知り合った女性と交際を始めようとすると、暴力団関係者とみられる男が現れるという“美人局”の事件も多いという。
しかし、ある指定暴力団の幹部が打ち明ける。
「美人局のような事件は、最近は身近でほとんど聞かなくなった。そもそも、引っかかった男の前に姿を晒さなければならないから危険は多い。ハイリスクだ。今では、こんなことをやっているヤツはほとんどいないのではないか。オレオレ詐欺のほうがはるかに安全にカネを取れる。ローリスク、ハイリターンだ」
さらに、ヤクザのシノギ(資金源)をめぐる大きな変化を口にした。