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政治家への寄付で暴力団幹部逮捕の例も…

 前述のようにパーティー券の購入などで政治家の資金集めに協力するという形ではなく、過去には直接的に現金を提供したことで暴力団幹部が摘発されたこともあった。2003年2月に行われた滋賀県草津市長選で、候補者側に数百万円の違法な寄付をしたとして、指定暴力団山口組系幹部が2004年1月、公職選挙法違反(特定寄付の禁止)の疑いで逮捕された。

 この山口組系幹部は、市の工事を請け負う建設会社の実質的な経営者とされ、提供されたのは市長選のための選挙資金だった。公職選挙法違反での摘発にとどまったが、多額の寄付の目的は、工事の受注をめぐり有利な取り計らいを求めるためとの指摘もあった。

 一方で、寄付を受けた候補者は、市の工事を請け負っていた建設会社など8社から約1700万円を集めており、当選後に別の建設会社からの提供資金をめぐって収賄容疑で逮捕され、汚職事件へと発展することにもなった。事件をめぐり公職選挙法違反の罪に問われた幹部は2004年4月、禁錮1年6月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡された。

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 市長は記者会見で「自分の選挙で逮捕者が出た責任を取りたい。市政を混乱させるわけにはいかない」と述べ辞職した。「事件で逮捕された暴力団組長と面識はない」と強調していたが、一部の建設会社が山口組系幹部によって実質的に支配されていたため、「政治とヤクザ」すなわち「選挙とヤクザ」の関係が指摘され、スキャンダルとなったケースだった。

 その後もこの建設会社からは、滋賀県内の選挙区から選出されていた自民党衆院議員(後に引退)が2003年12月に寄付を受けていたことも発覚。当然のことながら、衆院議員は後に釈明に追われた。政治資金収支報告書によると、この衆院議員が代表を務めていた自民党滋賀県支部は、山口組系幹部の建設会社から2002年に50万円、2001年にも50万円、2000年には200万円の献金を受けており、計300万円に上った。

 献金していた建設会社については、もともと滋賀県警が山口組系のフロント企業と位置付けていたこともあり、説明責任を問われた衆院議員は「建設会社が(暴力団と)関係があることは初めて知った。公共工事の指名入札企業でもあり、知るよしもなかった。(献金については)至急、返却する」と応じざるを得なかった。