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遺体は火葬済み、しかし血液が残っていた
遺族が延命を望まなかったため、興津さんは大口病院に戻り、午後1時40分頃に死亡が確認された。当初は病死との判断が下されたが、後に西川さんと八巻さんの事件が発覚し、興津さんの件も事件性が疑われた。ただ、興津さんの遺体はすでに火葬済みだった。
しかし、興津さんの主治医は退院を強く訴える興津さんについて看護師から相談され、当初17日に予定されていた退院の指標となる血液検査を16日午前の容態急変前に変更し、採血していた。そのため火葬後も死亡直前の血液が残っており、ここからヂアミトールが検出され事件化に繋がったのだ。
凄まじい苦痛のなか死を迎えた興津さんについての病院関係者らの供述調書が法廷で読まれる中、久保木被告は固まったように姿勢を変えず耳を傾け続けていた。
遺族は《亡くなる前日までピンピンしていた》
興津さんの姉は裁判前、報道各社に弁護士を通じて以下のようなコメントを出している。
《妹が亡くなって5年が経ちました。足の怪我で入院していましたが、足以外は亡くなる前日までピンピンしていたので、亡くなったときの知らせを聞いたときは訳が分からず涙も出ませんでした。
それから2年が経って、ようやく犯人が逮捕されました。
そして裁判がはじまるまでさらに3年。私は93歳になりましたが、この裁判を見るまでは生きなければとの思いで過ごしてきました。
裁判には弟と一緒に参加します。犯人がどうなっても妹は帰ってきませんが、なぜこんなことが起きたのか、きちんと見届けたいと思います》
10月11日以降、久保木被告の被告人質問が予定されている。ここで何を語るのか。注目が集まる。