2016年9月に発覚した横浜市神奈川区旧大口病院での「点滴殺人事件」。同年7月以降、同病院4階の終末期病棟では入院していた48人もの患者が相次いで亡くなる異常事態となった。このうち3件の殺人などの罪に問われているのが同病院の元看護師、久保木愛弓被告(34)である。
横浜地裁で開かれている裁判では、同僚の看護師の供述調書などから、致死量を大幅に超える消毒液を点滴に混入された被害者が血尿を出し「頭が痛い」「苦しい」「息ができない」などと苦しんで絶命していった様子などが明らかになっている――。
動揺している様子は特に見られなかった
「久保木被告は『20人以上にやった』と自白しましたが、血液が残っていたか、遺体が火葬前だった3人分だけが殺人事件として立件されました。10月1日から始まっている裁判員裁判では、事件当時の詳細な状況が明らかになり、法廷では重い空気が流れています。
裁判では、久保木被告の父親の証人尋問なども行われました。事件当初から犯人視された久保木被告を信じ続けていた両親の思いなどが語られても、ハンカチを握った被告はじっと耳を傾け続け、動揺している様子は特に見られませんでした」(司法担当記者)