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少年漫画の世界から見る2021年オリックス・バファローズの「物語力」

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/11/11
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2021年の中嶋オリックスの「最終回」はどのような形になるのか

 僕は25年近く少年漫画の世界で「物語」を創り出す現場に身を置いてきました。脳内は「少年漫画的思考」にドップリ浸かっています。そんな僕にとって、どう客観的に見てもどんなに俯瞰して考えても、2021年のパ・リーグは最初から最後までオリックスが主人公的ポジションに居続けた一年間だったと思うのです。(もちろん他の5球団のファンからは違う景色が見えていたりするとは思うのですが)

 それだけ今年の中嶋オリックスの戦いは波瀾万丈でありドラマチックで圧倒的な「物語力」を内包していました。しかもその物語は「絶対的王者」や「世紀末覇王」のお話ではなく「滅亡しかけた祖国を救うために立ち上がった未熟な少年たちが久々に祖国に帰ってきた聡明な王子の指揮の下、傷つき打ちのめされながらも手を取り合って成長し全員の力を結集して勝利を収めるまでの物語」だと思うのです。オリックスファンの皆さん、そう言われればそんな感じ、しません?(笑)

 さてそんなバファローズ少年たちの物語も最終章に入りつつあります。その結末はハッピーエンドなのかバッドエンドなのか。例えれば『タッチ』なのか『あしたのジョー』なのか『北斗の拳』なのか。少年漫画の国民的名作にも様々な「最終回」の形があります。2021年の中嶋オリックスの「最終回」がどのような形かは誰にもわかりません。でも願わくば久々に訪れたこの幸福すぎる最終章が1日でも長く続くことを、そして祖国を救ってくれた聡明な王子が大勢の国民が直接見守るスタジアムで宙に舞う姿を見られる日が来ることを、全国のオリックスファンの皆さんと共に祈りたいと思います。

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パ・リーグCSファイナルステージ第1戦 完封勝利の山本由伸

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