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 山本の筋骨隆々ぶりはもはや周知のところである。彼に言わせると《日本では俳優って割と細いのがいいとされてるじゃないですか。でも僕は、筋肉がついたデカい体がいいと思ってるんですよね。筋肉があると瞬発力が出るし》ということらしい(※6)。

 ときにはその体が笑いのネタになることもある。三谷幸喜の大河ドラマ2作目となる『真田丸』(2016年)で石田三成を演じたときには、加藤清正と福島正則から、病に臥した豊臣秀吉の回復を祈る水ごりに誘われ、三成がいやいや脱いだところ、鍛えすぎた体に「気持ち悪い」と言われるシーンがあった。

 このとき、三谷からは事前に「脱いでもらいます」と言われており、3~4カ月かけて体をつくったという。

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山本耕史 ©文藝春秋

 昨年の自粛期間中も筋トレに打ち込んでいたとか。自粛明けに上演された三谷作・演出の舞台『大地』ではスター俳優に扮し、以前より一回りも二回りも大きくなった見事な体を披露している。

「裸で出てきたら面白いなと思って」

 このときは『真田丸』とは逆に、山本のほうから《スターの役なので、ここで何もやってないのに裸で出てきたら面白いなと思って》裸になり、三谷が改めて脱ぐシーンを追加したという(※7)。役にのめり込みつつも、客を喜ばせようというサービス精神がここでも発揮されている。

 45歳を迎えてまもなくして来月3日には、一昨年に放送された人気ドラマの劇場版『きのう何食べた?』の公開を控える。本作で山本は、恋人である年下の青年に振り回される芸能プロ社員を演じている。

 同じく来月スタートするNHKのBS時代劇『剣樹抄~光圀公と俺~』では、水戸黄門で知られる徳川光圀の若き日を演じる。来年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも、再び三谷幸喜と組み、鎌倉時代前期の武将・三浦義村の役での出演が決まっている。

 NHKの時代劇ではこれまでにも『陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙~』や『鳴門秘帖』で主演を務めてきた。いずれも美剣士の役で、『陽炎の辻』は2007年より10年近く続く人気シリーズとなった。この世代で時代劇で美剣士を演じられる俳優などそうそういまい。その上、アナクロさをちっとも感じさせない、現代風の美剣士になっている。それができるのもまた、照れることなく役にのめり込める彼だからこそだろう。

※1 『週刊大衆』2020年1月6日・13日号
※2 『GALAC』2004年10月号
※3 「ナリナリドットコム」2015年10月25日配信
※4 『マリ・クレール』2006年6月号
※5 『ステラ』2017年9月8日号
※6 『an・an』2019年6月12日号
※7 「FNNプライムオンライン」2020年7月2日配信