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“デビューの衝撃”から20年 中島美嘉の「儚さと懐かしさ」がたまらないワケ《女優業では一転…》

2021/11/16
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耳管開放症の症状も快方へ

 20周年ももちろんおめでたいが、一番嬉しいニュースは、2010年10月に発表した耳管開放症の症状が、徐々に快方に向かっているということだ。しかも今ハマッていることは「腸活」なのだとか。これまた心がホッコリする朗報である。健康に気づかい、これからも長く歌ってくれそうではないか。

 ターニングポイントはまさに今。でも歌のスタンスは昔から変わらない。

 10月23日にアップされた「Numero TOKYO」の、編集長田中杏子さんとの対談記事で、「やっぱり痛み担当っていうことですかね。ハッピーに行こうぜっていうことを発信する人はいっぱいいるけど、『泣けばいいんじゃない?』ってことを言う人ってあまりいないと思ってて」と語っているのを読んだ。

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「いいんじゃない?」という言い回しに距離感が見え、彼女の歌がクドくないのはこのあたりなのかな、となんとも納得してしまった。

©getty

「傷ついたあなたへ 傷ついた命へ わかる人にしかわからない それでいい愛詞」(「愛詞」作詞・作曲:中島みゆき)

「死ぬことばかり考えてしまうのは きっと生きる事に真面目すぎるから」(「僕が死のうと思ったのは」作詞・作曲:秋田ひろむ)

 こんなヘビーな歌詞も、彼女が歌うと耳の「後味」は不思議とやわらかい。

 共感を求めるわけでもなく、鼓舞してくるわけでもなく。ただただ声と言葉が降ってきて、気がついたら風景と一緒に横にいてくれる。そして、心の荒ぶりが収まったら、いつの間にか記憶の彼方にスーッと溶けていく。

 これから訪れる冬の夜長。考え過ぎて眠れなくなる、という人、ぜひ。

 彼女の歌があれば、ふんわり楽だ。

“デビューの衝撃”から20年 中島美嘉の「儚さと懐かしさ」がたまらないワケ《女優業では一転…》

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