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SNSに厳しい制限、「辞めるなら契約書にサインしろ!」…美容師が直面する、退職時の「理不尽」

2021/11/14
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 ここ数年で美容師の働き方は劇的に変化しています。今までと同じやり方では通用せず、新しいスタンスで働くことを選ぶ方が増えているのです。

 かくいう僕も、11月から独立して、スペースを借りて営業する、フリーランスの「面貸し」美容師として働きはじめました。

 今までの美容師の働き方とは何が変わったのか。そして僕の実体験から、美容師が今、何を求めているのか、紐解いていきます。

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美容師としてのキャリアは、どこまで続くのか?

 長く会社に勤めている多くの美容師には、今後のキャリアを考える頃が来ます。

 現役美容師の平均年齢は30歳前後と言われ、離職には歯止めがかかっていません。ここまで続けてきた方たちであっても、リタイアすることが視野にちらつきます。

「これから美容師として、どこまで成長できるだろうか」

「自分は何歳まで美容師でいるだろうか……」

※写真はイメージ ©iStock.com

 そもそも多くの美容師には「出世」という概念がありません。美容室の形態は、大きく分けて2つあります。「店舗展開をする美容室」と「小規模な美容室」です。

「店舗展開をする美容室」に勤める美容師は、店長になる、エリアマネージャーになる、現場を離れて運営側に回るなど、役職に就くことでのキャリアの見通しがつくため、「出世」する方向性があります(もちろん現場主義の方も多いと思います)。

 一方で「小規模な美容室」は、規模を拡大することをせず、土地に根ざした運営をしています。少人数のため、役職もほとんどありません。

 そのため多くの美容師にとっての「出世」は、人気の美容師になって「売上を上げる」、歩合を沢山もらって「お給料を上げる」ことになります。

いつか自分のお店を……

 10年前までの美容業界には、「美容室を開業する」ことが一人前の証であるかのように考えられていました。僕も若い頃は「いつか自分の理想のお店を開きたい」と夢描いていたものです。

 しかし、ご存知の通り、美容室はとっくに飽和状態。街の中心部はどこもかしこも美容室です。

 開業には、資金と銀行から融資されるだけの実績が必要なため、簡単ではありません。それでも「小さくても自分のお店を!」と1~3人ほどの少人数での開業が多くなったこともあり、小さなテナントに美容室が入っている姿も多く見られるようになりました。