なぜ美容師は男性ばかりなのか。
「女性の社会進出」を問われる現代ですが、美容師さんは圧倒的に男性が多い。アラフォー世代には特に女性が少なく、仕事やプライベートの価値観が変化した20、30代であっても女性は少ないです。
その一方で「男性の美容師が苦手、できれば女性で」というお客様側のご要望は少なくありません。接客業において女性は貴重な人材です。デパ地下食品フロアの店員さんなどは今もほとんど女性ですし、男性に対して見えない圧を感じる方も少なくないようです。
「技術職だから、器用な男性が残るのかな?」ともよく聞かれますが、そこには別の理由があります。
美容学校は女性比率が高い
下のデータは2019年の美容学校の在学生(「美容学生」と呼びます)の数です。女性比率は70%ほど、つまり美容学生は圧倒的に女性が多いのです。
僕の美容学生時代も、学校の男女比は男2:女8でした。それが卒業して10年以上経つと、同じクラスの40人のうち美容師を続けているのは15人程度、そのうち女性はわずか2人、です。それでも業界では「美容師を続けている人が多い方だ」と言われます。
結局残っているのは、ほぼ男性。僕らの時代では美容師は人気の職業だった為、都内の専門学校で倍率があがったほどでしたが、同級生は10年の間にほとんど美容師ではなくなっています。ではなぜ現場には女性が少ないのか?
女性美容師が現場に少ない理由
一つはまつげ業界の存在です。まつげ業界はパーマなど薬剤を使うことから、数年前から美容師免許が必要になり、それを目的として国家試験を受ける方も増えています。つまり在学生の何割かは、まつげの仕事に就くために美容師免許を取るのです。
また、美容師をドロップアウトした方がまつげ業界に転職することも多くあります。既に美容師免許を持っていて、まつげの技術は習得するのに時間もそれほどかからないため、次の働き口の受け皿になっています。
ちなみに、卒業後の就職先に美容室を選ばなかった方、また美容師を辞めた女性の多くは、美容部員(デパートの化粧品売り場で働く方のこと)やエステ、ネイル関係に就職します。
これらに美容師免許の資格は必要ありませんが、元々お洒落の素養を持っていて、メイクやネイルの知識も活かされます。その他はお洒落好きな為アパレル関係、ファッション界から離れてOLになる方も多いです。
ですが、まつげの仕事に就くために美容学校に通う事例はここ数年の話なので、10年以上前に在学生だった、僕らから上の世代には当てはまりません。多くの女性同級生は、美容室への就職をしていたはずです。