今回はなぜ美容師が「染みてないですか?」と毎回聞いてくるのか?についてです。僕自身、薬剤を塗布して頭皮に触れる際にはほぼ確実に言っているフレーズです。

 当たり前ですが薬剤にはリスクがあり、薬剤を使用する上で美容師には大きな責任があります。

 では、いつもの美容師さんがなぜ毎度毎度聞いてくるのか?「私が染みないのはもう知ってるでしょ?」と思いがちですが、そこには理由があります。

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本来はピリピリしないはずのヘアカラー

 まず結論として、染みていたら素直に答えてください。

 僕は薬が染みる方なので、美容師になる前は「薬をペタペタ塗り付けてるんだから、多少ピリピリするのは当たり前なんだよね?」「我慢できない程じゃないし、大丈夫」と思っていたのですが、一般的には全くピリピリを感じない(らしい)のです。体感は薬でひんやりする程度、だそうです。

 ヘアカラーは、薬機法(旧・薬事法)で定められた低濃度の過酸化水素水(業界では「オキシ」と呼びます)を混ぜて使っているため、少なからず頭皮に負担がかかります。が、それとは別に美容師が心配しているのは、アレルギー反応を起こす成分が含まれていることです。

 

 美容界ではそれを、アレルギーを起こす成分にちなんで「ジアミン」アレルギーと呼んでいます。その成分を抜いたお薬も開発され続けていますが、その成分が無くては髪が染まらないほど重要な成分のため、2020年現在、既存の薬を代替できるほどの効果があるものは存在しません。

今まで何ともなかったのに…急に発症する可能性

 僕は皮膚科でジアミンアレルギーと診断済みです。日常的に薬剤を触っているため、今も手荒れと戦っていますが、僕の場合はそれほどひどくはないため、痒み、あかぎれ程度です。ですが、アレルギーは過敏に反応する方が少なからずいます。皮膚がただれたり、顔や全身にまで炎症や腫れが出ることもあります。

 そしてアレルギーは花粉症などに代表されるように、いつ発症するかわからない、というリスクがあります。今まで何ともなかったのに、急に発症する可能性があるのです。

 

 なので美容師は「染みてないですか?」と毎回聞く必要があります。「なんかいつもと違う」「ピリピリきている」と感じたら、素直に答えましょう。