2020年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。ライフ部門の第1位は、こちら!(初公開日 2020年9月18日)。
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夏らしい事もまともに出来ず、暑すぎた夏をクーラーの効いた我が家で過ごしていた毎日。気付けば季節も少し寒々しくなってきた、そんな晩夏をいかがお過ごしでしょうか。
お洋服屋さんは既に秋冬物にシフトしているし、そろそろヘアスタイルを変えたい気持ちになってくる頃。でも、今までに美容師さんに話してみて「このヘアスタイルにはできない」と断られたことはありませんか?
多くの美容師は、他のサービス業の人より「できない」とキッパリ言う傾向があります。
では、なにがどう「できない」のか、説明します。
切りすぎたらそこで試合終了
美容師は基本的にお客様のオーダーを叶えようと技術を駆使するのですが、そのヘアスタイルを作れる見込みが無い場合には、必ず「できない」と断ります。美容師にとっての商品はヘアスタイルの完成形なので、提供できそうにない場合は断るしかありません。
髪の毛を切りすぎたらそこで試合終了。美容師には髪の毛を生やす能力はありません。
美容師は作業を始める前に、経験値に基づいて「この方法でやろう」と見立てがついてから、作業に移ります。行き当たりばったりで「やりましょう」と安易にオーダーを受けて「やっぱりできなかった」とは言えません。お金を戴いているため、どうなるかわからない実験はお客様にはできないのです。
材料がなくて「できない」
お店では、全ての種類の薬剤を用意しているわけではありません。置いておくスペースにも限界があるため、使う頻度が少ないものは用意せず、需要に応じて材料は仕入れています。
やるための薬の用意がない場合、発注して届いてからでないと「できない」です。
髪の長さ、髪質、生えグセで「できない」
また、そのヘアスタイルが、そもそものお客様の髪の毛で「できない」場合があります。
明確なイメージがあっても、髪の毛の長さが足りていなければもちろん同じようには作れないし、ウェーブの有り無しによっては、同じ長さでも違った形になります。
例えば、ぱっつんの前髪にしたいけど、いつも分けている分け目の生えグセが強いとパックリと別れてしまい、ぱっつん前髪をキープできません。