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いわば「美容室版牛丼チェーン」…美容師が1000円カットをおすすめしない理由

2020/08/22

 このコロナ禍で、美容室に行くのにも後ろめたさが残る今日この頃。そもそも毎日暑すぎて、マスクして外出なんて本当にしたくないですね。

 皆さんは1000円カットを利用したことはありますか? 街で見かける1000円カットのお店は見た目が床屋さんなので、男性の方が利用しやすく、「息子は1000円で充分」と足を向ける方も多いのではないでしょうか。

 駅近にあり、予約も不要、その手軽さは美容界でも群を抜いています。

 そして、利用してみて失敗した方も多いのではないでしょうか。また「1000円ならこんなもんか」と妥協してる方もいるのではないでしょうか。

 ではどうして1000円カットでは満足できないのかについて、説明します。

©︎iStock.com

なぜ1000円で出来る?

 今日、美容室は様々な価格帯のお店が存在しますが、美容界では10分に対して1000円で換算するのが定石です。もちろん地域やテナントの家賃、お店のブランディングなどによって大きく変化します。

 1000円カットの場合「通常30~50分かけるカットを10分で終える」というのが前提で運営されています。そのため美容室・理容室が当たり前にする、あらゆる工程を排除した形で運営するスタイルを確立しています。1000円カットにはカット以外のメニューはありません。シャンプーも、ブローも、髭剃りもありません。

 また、薬剤を扱うこともありません。薬剤を効かせるには時間が必要なため、お客様の滞在時間が延びてしまいます。そもそも材料費や、薬を常備する場所代も高くつくため、カラーやパーマはしないのです。

 シャンプーをすることもありません。テナントにシャンプー台を設置するには設営の初期費用がかかる上、濡らした後に乾かすドライヤーの時間がかかってしまいます。なので、必ず乾いたままの髪を切り、切った髪は専用の吸引機で掃除機のように吸い取る、という非常に合理的なスタイルを用いています。

専用の吸引機で切った髪を吸い取る ©︎操作イトウ

 これだけ割り切った形を取ることで、通常の美容室・理容室に必要な設営の初期費用、月々の水道光熱費(水も電気もガスも相当な額になります)そして材料費等を抑え、ほぼ人件費とテナントの家賃だけで運営できているのです。