韓国では今、不動産バブルが深刻だ。不動産価格は文在寅政権発足からの4年間で2倍近くに高騰。このバブルが崩壊すると経済再建が難しくなる可能性が高く、今後も上昇し続けるのか、あるいは暴落するのか、多くの韓国人のみならず、世界中がその動向に注目している。

不動産政策を乱発

 文在寅政権は2017年5月の発足以降、大統領選で公約に掲げた「住宅価格の安定」を実現するため、25回にわたって不動産政策を発令した。賃貸事業者を廃止し、個人の多住宅保有に懲罰的な税金を課すなど何でもありで、事態は泥沼に陥っている。

 地方の不動産価格は下落傾向にある一方で、都心はますます高騰。今年、首都圏のマンション価格は19年ぶりの高い上昇率を記録した。

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 韓国有数の経済市民団体の一つである経済正義実践市民連合(経実連)によると、朴槿恵政権時(2013年2月~2017年3月)の不動産価格の上昇率は4年間で7.6%、李明博政権時(2008年2月~2013年2月)は5年間で2%だった。

文在寅大統領 ©AFLO

 その経実連は今年6月の記者会見で、文大統領の就任からの4年間で、ソウルにある75か所のマンション団地(11万5000戸)の相場が一坪あたり2061万ウォンから3971万ウォンまで93%も上昇したと明らかにした。

政府内には“諦めムード”も漂う

 文政権の不動産政策は裏目に出続けている。例えば、政府は不動産価格が高騰している原因は投機にあると考え、多住宅保有を抑制するため、住宅供給を減らして、住宅融資を規制した。だが、その影響で「一日でも早くお金を借りて住宅を購入しよう」というパニック・バイイング(Panic Buying)が起きた。今では、韓国の標準的な30坪型マンションは、一戸あたり10億ウォンを超えている。

 こうした状況を前に、政府にはもう諦めムードさえ漂っている。金富謙(キム・ブギョム)首相も今年6月、国会で「住宅価格(高騰)の解決策があるのなら、どこかから盗んできたい気持ちだ。皆がこの泥沼から抜け出したいと思っているが、抜け出せない」と、絶望的な心境を露わにした。