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不動産バブルが崩壊する予感

 この異常な不動産バブルは、近いうちに崩壊するのではないか――。韓国では、そう囁く声も増えている。

 今年7月には、首相(国務総理)直属の機関である金融委員会の都圭常(ト・ギュサン)副委員長までもが、金融リスク対応チームのテレビ会議で「不動産市場に“暗雲”が近づいているという専門家の警告を無視してはならない」と述べるなど、経済崩壊への懸念を表明した。

ソウルの集合住宅群 ©AFLO

 この状況を、日本のバブル期と重ね合わせて見る向きも多い。日本のバブルの主な要因には、低金利政策があった。1985年のプラザ合意以後、日本政府が利下げを行ったことで流動性資金が増大し、株価と不動産価格が上昇。しかし、90年に橋本龍太郎大蔵相(当時)が「融資総量規制」を発表したことで、融資なしでは売買が難しい不動産取引が停滞し、不動産価格が暴落した。

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 これが、日本の「失われた30年」の始まりだった。

 そして、文在寅政権の任期終了が近づく韓国は、それと同様の流れを辿っている。不動産価格の高騰を受けて中央銀行(韓国銀行)が金利を引き上げ、融資も規制されはじめたのだ。

不動産取引が激減している

 新型コロナウイルスの影響を受けて、韓国では昨年5月に政策金利が0.5%に引き下げられ、それ以来、据え置かれていた。しかし、韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が今年6月、そうした緩和的通貨政策を「秩序をもって正常化していかなければならない」と述べ、8月に0.25%引き上げた。その先、年内には、さらなる引き上げが行われるという見方が強まっている。

 そして融資規制も始まった。所得に占める負債割合が増えると内需経済が萎縮し、ひいては雇用難の長期化につながるとして、銀行をはじめとする金融機関が家計向け融資の敷居を高めているのだ。

 そうした影響は数字にも現れている。ソウル市の10月17日の発表によると、9月の市内のマンション取引件数は2348件で、8月の4178件から43.8%も減少しており、前年同月の3775件と比べても37.8%少なかった。