「これからアジアの通貨の中心になるわ」

 マッチングアプリで出会った女性から、そんな甘い“儲け話”を電話口で囁かれ、偽の仮想通貨に投資し、騙しとられた金額はなんと総額20億円――。

 その「大型仮想通貨詐欺」の主犯こそ、なみなみと注がれたシャンパンを飲む、一見爽やかな“青年実業家”、山田大紀容疑者(26)だ。

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友人たちとシャンパンで乾杯する山田大紀容疑者

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全国の約1500人が計約20億円の被害に

 大阪府警など8府県警は10月、東京都杉並区の投資関連サービス会社「Rawbiz」社長・山田大紀容疑者(26)と妻の山田笑花容疑者(30)ら23~30歳の男女6人を、国に無登録で仮想通貨の交換業を営んだとして資金決済法違反容疑で逮捕した。

 8日には、実際には価値がない独自の仮想通貨「アークキャッシュ」などへの投資を被害者たちに持ち掛け、代わりに「ビットコイン」を騙し取ったとして詐欺容疑で再逮捕されている。

逮捕された山田笑花容疑者 本人のインスタグラムより

 2020年7月以降、全国の約1500人が計約20億円の被害に遭っており、仮想通貨を悪用した巨額詐欺事件の様相を深めている。社会部記者が解説する。

「大紀容疑者らは、『まだ無名の仮想通貨だが、1年以内に取引所に上場すれば価値が10倍以上になる。自分も投資している』などと嘘の投資話を被害者に持ち掛けていたようです。

SNSで20代の男性を中心に声をかけ、50人ほどの犯罪グループを組織

 インドやカナダを拠点に流通させると説明をしていたようですが、そもそも業務実態がなく、もちろん海外にも事業拠点はない。購入した架空の仮想通貨の残高が、スマートフォンのアプリに表示されるだけだったようです」

逮捕された山田大紀容疑者 FNNプライムニュースより
逮捕された山田大紀容疑者

 大紀容疑者らはそうして騙し取ったビットコインを取引所でせっせと現金化し、利益を貪っていたようだ。一方で、こうした被害者たちの「取引ができない」という訴えが相次ぎ、無登録販売の疑いが浮上。不安を覚えた被害者には「コロナで手続きが遅れている」などと説明していたという。

「大紀容疑者らはSNSで20代の男性を中心に声をかけ、50人ほどの犯罪グループを組織していました。メンバーは、自分の元カノの写真や、知人の身分証明書、他人のSNSの顔写真を悪用してマッチングアプリに登録し、女性の声音を装うボイスチェンジャーアプリを使って、被害者に電話をかけていました。