脳神経外科の医師:
大久保さんがやられている作業は、動脈穿刺(せんし)です。静脈だと看護師でもできるが、動脈に針を指すので、基本的に医者じゃないとできない作業になります
動脈に管を入れて血圧などを測定する「動脈穿刺(せんし)」は、NPに許された医療行為の一つ。医師が頭蓋骨を開け、直径で4ミリほどにまで大きくなったコブを小さなクリップではさみ、根本を閉じることに成功した。
ここから再びNPの出番。切った皮膚を縫い合わせる“縫合”を担当する。
脳神経外科の医師:
上手ですね。その辺の外科医と変わらないと思います。圧倒的な時間をとられるような仕事とかは、分担できるようになった
大久保さんは「NP」としての役割を無事果たした。
大久保麻衣さん:
大変なこといっぱいありますけど、自分で考えて行動できますし…
大久保さんは、まだまだ知識や技術が伴っていないので、もっと勉強したいと話す。
医者の“働きすぎ”を減らすために…仕事の一部を肩代わりできるNPへの期待
2008年から養成が始まったNP。国は2025年までにNPなどの医療行為が行える看護師を、10万人以上に増やす方針だ。その背景には、医師の“働きすぎ”の問題があった。
脳神経外科の加藤庸子教授:
医者の世界も、まもなく働き方改革の波が押し寄せてくる…。(労働時間の)縛りが出てきて、どうやっていくかが大きな課題となっている
日本の医師は全体の約4割が残業時間80時間以上の“過労死ライン”を超え、うち1割はその倍の160時間を超えている。2024年度からは残業時間が規制され、原則年間960時間、月に平均80時間の上限が設定される。
しかし2020年の春以降は、新型コロナへの対応もあり、現場の医師の業務はむしろ増加しているのが現状だ。NPはその解決策として期待されている。
加藤庸子教授:
(NPが)医者の仕事の一部を肩代わりしてくれる。少しでも医者の労働時間が短縮できる。(医師は)研究時間にまわったり、患者さんをいつもなら1時間のところを2時間、ゆっくり家族ともお話できるし…