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“保強”に総額50億円以上を注ぎ込む大盤振る舞い
アットホームで常勝を求められない代わりに、大金を投じた派手な戦力補強も滅多にない。ただし、ここぞという時に球団が勝つ姿勢をみせるのも、近年のヤクルトの特徴だ。ヤクルトに詳しいフリーライターの菊田康彦氏が解説する。
「前回優勝した15年はヤクルト本社の創業80周年でした。節目の年に3年連続最下位は避けたいと、14年のオフは、FA権を行使したロッテの成瀬善久投手、日ハムから大引啓次内野手らを獲得するなど、大型補強を敢行しています」
同様に、2年連続最下位に沈んだ昨年オフも、補強ならぬ“保強”に総額50億円以上を注ぎ込む大盤振る舞いをみせた。
「チーム内でFA権を取得した山田哲人内野手、小川泰弘投手、石山泰稚投手らと複数年契約を結んだのです。投打の主力を引き留めたことも、今季優勝の大きな要因のひとつ」(同前)
最下位に甘んじていた時期も、ただ低迷していたわけではない。その間に次世代を担う若手が順調に成長を遂げ、のちの下剋上優勝に大きく貢献するのだ。
15年は5年目の山田がリーグ最年少の“トリプルスリー”を達成。今年は4年目の村上宗隆が本塁打王を獲得する活躍をみせた。
「山田も村上も、1年目はほぼ2軍でしっかりと体力作りをし、2年目以降、満を持して1軍で起用されています。1軍定着後も、ヤクルトは順位が低迷していましたし、他球団からはノーマーク気味で(笑)。そうした環境の下、余計なプレッシャーを感じることなく、伸び伸びとプレーができたはずです」(真中氏)