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“ファミリー主義”を色濃く残している球団

延長12回、逆転ヒットを放ったヤクルト・川端慎吾

「その後、若松勉監督が率いた2001年のリーグ優勝から13年遠ざかるが、2015年に再び強さが変動する“持ち味”を発揮。今季と同じく2年連続の最下位から、下馬評を覆してリーグ優勝を決めるのです」(前出・記者)

 今世紀に入ってヤクルトは三度、リーグ優勝しているが、いずれも独走はなく、接戦を確実にものにしている。01年は2位の巨人と3ゲーム差ながら勝利数の差はわずか1。15年も巨人とゲーム差1.5、勝利数の差はまたも1である。そして今年は阪神とのゲーム差はゼロ、勝率わずか5厘差で振り切った。

 15年当時、監督を務めていた真中満氏が語る。

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「巨人、阪神と競っている終盤、ミーティングで『俺たちは優勝するに相応しいチームだと思う』と説きました。前年は最下位でしたが、まぐれで優勝はできない。勝っても恥ずかしくないチームなんだと、いい意味で選手を勘違いさせたかったのです」

優勝会見での高津監督(左)、中村悠平(中央)、山田哲人(右)

 今季も9月7日、高津監督が「俺たちは絶対大丈夫!」とチームを鼓舞。以降、ヤクルトは9月に9連勝、10月に7連勝と、白星を重ねていく。優勝のチャンスがあれば、ペナント終盤に驚異的な結束力と勝負強さを見せるのが、ヤクルトの凄みなのだ。

鏡割りでほっとした笑顔を見せる高津監督

 もともとヤクルトは、初代オーナーの故・松園尚巳氏が標榜した“ファミリー主義”を色濃く残している球団。本拠地である神宮球場のクラブハウスには、ヤクルトやミルミルなど親会社の製品が常備され、選手やスタッフは飲み放題だ。

「ヤクルト製品は選手やスタッフの各家庭にも宅配されます。コロナ以降、領収書を球団に提出すると返金されるので、実質タダです」(前出・記者)