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「静かに消えていきたい」

「僕、デビューした覚えがないんです。第1作のLPレコードが出たのは銀行に就職して5年目、アメリカに留学していたときです。だからよく知らなかったんです。

 今は静かに消えていきたいという感じですね。身体もしんどいし、残念ながら昔のような声は出ないです。歳をとったらとったなりの味が出るとか言うけど、そんなものはウソ。単なる衰えですよ。

 

 睡眠薬がわりに若い日の自分の歌を聴きながら寝ています。自分で言うのは変ですけど、いい声が出ていたなと思いますね。その声がずっと頭にあるから、今でもステージであの声を出したいわけです。でも、残念ながら高音域が出ない。以前は薄くきれいにさあーっと広がりのある声で歌えたんですが、今は張らないと声が出ない。若い頃は歌がうまかったんだなとつくづく思います。特別に訓練したわけでもなんでもないんですから、親に感謝しなくちゃいけないんでしょうね」

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 12月10日発売の月刊「文藝春秋」新年特別号と「文藝春秋 電子版」では、小椋佳の引退直前インタビューを掲載。銀行員でありながら週刊文春の記事がきっかけでシンガーソングライターとして顔が世に知れ渡ったことや、50歳で東大へ再入学したときの経験など、人生の辛苦を振り返っている。

文藝春秋

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静かに消えていきたい
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