2017年11月16日、自民党の観光立国調査会は、政府が導入に向けて検討をすすめてきた「出国税」について、名称を「国際観光旅客税(仮称)」とし、出国時に1人1000円を徴収する内容の決議をまとめた。

 新税の名称は、これまで「出国税」として議論が進められてきたが、出国することに対する懲罰的な印象がある、観光を促す目的の税であることを打ち出すべきといった意見が出たことから、名称を変更した。

 国際観光旅客税が導入されると、恒久的に徴収する国税としては、1992年に導入された地価税以来となる。

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羽田空港のチェックインカウンター前の行列。これらの解消のために、利用客はすでに空港使用料を支払っている

 これまでにあきらかになっている「国際観光旅客税」の内容は以下のとおりである。

■金額  航空機・船舶など交通機関の形態にかかわらず、出国1回あたり1000円
■対象者  国籍を問わず日本を出国するすべての人
■徴収方法  航空運賃を支払うときに徴収する。船舶の場合は実態をふまえて精査
■導入時期  2019年1月もしくは4月からを検討

 2016年の訪日外国人と日本人の出国者は合計で約4000万人。1人あたり1000円を徴収すると、観光庁の予算(2017年度で210億円)のほぼ倍額にあたる約400億円が確保できる。2017年は訪日外国人だけでも2800万人を超えそうな勢いであり、その金額はさらに増えるだろう。税収は外国での日本の観光PRや、観光案内、標識の多言語対応などに充てる方針だという。

 この新税については、2017年9月以降、地方公共団体や航空・旅行業界関係者などからのヒアリングをまじえた観光庁の有識者会議で議論されてきた。

 次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会
 http://www.mlit.go.jp/kankocho/jisedaikentokai.html

上のリンク先には座席の配置図まであるが、会議そのものは非公開。ただし、その概要はリンク先で確認することができる。

 特に興味深いのは全日空、日本航空、ピーチ、大韓航空、ジェットスターがヒアリングを受けた第2回だ。この税の課題が集約されている。

 第2回「次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会」議事概要
 http://www.mlit.go.jp/common/001204246.pdf

 この税については、その使いみちが不明瞭だという批判の声もあるが、最大の問題は受益者負担という原則から大きくずれている点だ。