ここ最近の岸田首相についての記事を読むたびに痛感することがある。それは「岸田マジック」である。マジックのタネは意外にシンプルというのはお約束だが、政治でも同様のことを感じる。
たとえばコレ。12月2日の朝刊と夕刊(読売新聞)。
『国際線の予約停止』(朝刊)
『国際線予約停止取りやめ』(夕刊)
一体何が起きたのか。オミクロン株に対する水際対策の一環として「国交省要請受け 日本人も対象」(朝刊)だったが、「日本人帰国に配慮」(夕刊)と激変した。
となると朝令暮改という批判になる。「国土交通省の“勇み足”」(産経新聞12月3日)という見方が各紙で占めていた。
毎日新聞(12月3日)は岸田政権のスピード重視に「首相官邸のプレッシャーを感じていたのではないか」(閣僚経験者)。ここで出てきた「スピード重視」という姿勢。その理由がしみじみする。
安倍&菅政権を反面教師に
《首相が矢継ぎ早に打ち出すのは、安倍晋三元首相や菅義偉前首相が水際対策で「後手」との批判を浴びたことへの反省からだ。》(毎日新聞12月3日)
《「水際対策が甘い」との批判を浴びた安倍、菅内閣を反面教師とした決断だった。》(読売新聞12月3日)
《歴代政権の「後手」念頭》(産経新聞12月3日)
各紙きれいに揃っていた。
岸田政権は安倍&菅政権を反面教師にするだけで斬新なイメージがつくのだ。そういえば就任直後の記者会見で質問にちゃんと答えようとする首相を見て新鮮に感じたが、考えてみれば普通のことだ。当たり前のことをしただけでイメージが上がる岸田マジック。