駆けつけた警備員がさすまたを持って、犯人を抑え込もうとする。その際、警備員は犯人に対して、何か呼びかけていたという。
「犯人は少しフラついた感じで、店の中をゆっくりと歩いていました。警備員の呼びかけに対しても、ほとんど反応していないように見えました。暴れていた時間自体は5分ほどで、その後10分ほど経ってようやく警察官が来たのですが、すぐに取り押さえる様子はなく、説得をしていたように思います」(同前)
子供と買い物に訪れていた女性は、いつものショッピングモールとは違う物々しい空気を感じたという。
「子供と一緒にイオンに到着したのが、12時45分頃でした。駐車場に到着するとパトカーのサイレンが鳴り響いていたので、警察が到着したのも同じくらいだったのだと思います。私はベビーカーを引いてエレベーターで3階に上がったのですが、吹き抜けから大勢の人が下を見下ろしていて、2階も3階もビッシリでした。犯人が暴れていたLUPICIAの周りには他の客さんが近寄らないように椅子でバリケードが作られていました。みんな、『ヤバイ、ヤバイ』とスマホで動画や写真を撮っていました」
「踊っているように見えて本当に不気味でした」
事件を目撃した冒頭の女性は、黒ずくめの男の異様な行動を目の当たりにしていた。
「犯人はスマホを取り出して、手袋を外して何やら操作していました。音楽をかけたのか、上半身をゆらゆら揺らして踊っているように見えて本当に不気味でした。そうして、両腕を突き出して『捕まえてみろよ』というようなジェスチャーもしていました。最終的には警察官が取り押さえましたが、犯人は2階フロアから見下ろしている人たちを睨んだりしていて、襲いに来るんじゃないかと恐かったです。私は、見ている途中で恐怖で気分が悪くなってしまいました」
警察が器物損壊の疑いで逮捕した黒づくめの男は、ショッピングモール近くに住む無職の田中信吾容疑者(59)。刃物などの凶器は所持していなかった。田中容疑者は警察の取り調べに対して、「間違いありません」「暴れて店をめちゃくちゃにしたいと思った」と、供述しているという。警察は事件の経緯を詳しく調べている。
ひとつ間違えば、割れたビール瓶が凶器となり、人に襲いかかる無差別事件に発展した可能性もある。クリスマスで賑わう白昼のショッピングを恐怖に陥れた黒ずくめの男の動機の解明が待たれる。
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