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デビューは23年前! “ハロプロ激熱ユニット”タンポポのエモすぎる歴史《初期メンは矢口真里、飯田圭織、石黒彩》

2021/12/20
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 矢口真里の、サウンドに絡んでいくような明るいさえずりは唯一無二。そして、ロンリーウルフに見えて実は調和の達人、石黒彩の職人感はハーモニーをガツンと締める。

 私は石黒彩がASAYAN「ロックヴォーカリストオーディション」の審査で工藤静香の「Blue Velvet」を歌っていたのを、強烈に覚えている。カッコいい! と驚き、モーニング娘。になってからも、ロックの人というイメージがずっとあった。

 だからアルバム「TANPOPO1」の石黒彩のソロ曲「わかってないじゃない」を聴いたとき、勝手に震えるほど喜んだ。アイドルというギャップから解き放たれた感が色気に昇華。それが弾けているのではなく、ジワリととろけ出ている一曲である。

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初代タンポポのアルバム「TANPOPO1」

 まだ加入してすぐ、1期メンバーに馴染んでいないうちからタンポポに選抜された矢口真里の度胸とバランス感覚も驚いた。ユニットのイメージは飯田圭織が強いが、強く根を張り、意地でも花を咲かせるというタンポポ的「根性」は彼女から一番感じる。ソロ曲「センチメンタル南向き」はファンの間でも名曲と名高い。

2代目タンポポから感じる“幸せな年末感”

 石黒彩のラスト参加曲となった「聖なる鐘がひびく夜」、そして第2期タンポポ「恋をしちゃいました!」「王子様と雪の夜」。前述した通り冬の名曲の宝庫である。鐘や鈴の音がシャンシャンと降り注ぎ、とても心地よい。「王子様と雪の夜」のカップリング「年末年始の大計画」もワチャワチャ感が今の時期ぴったりだ。

 第2期タンポポメンバーは、石黒彩の卒業により、飯田圭織、矢口真里に加えて石川梨華、加護亜依が参加。スープパスタや星占い、記念日、映画の待ち合わせ……。恋する女の子のスケジュール手帳を観るような楽しさがある。

【動画】「恋をしちゃいました!」は今年、加護亜依によるセルフカバーも話題になった
 

 また、衣裳も観ていて安心感があった。今でこそハロプロもアンジュルムを始め、スタイリッシュな衣装が増えてきたが、初期のハロプロの衣装は、布をもう少し使ってあげてもいいのでは、と心配になるものも多かったのだ。新曲が出るたびハラハラドキドキしたものである。

 しかしタンポポは初代からタンポポ#までずっとオシャレ。リカちゃん人形に着せたいようなノーブルなワンピースと帽子が曲ととてもマッチしていた。

 楽曲良し、衣装も最高。ハロプロの中で一番安心して観ることができるユニット、それがタンポポだった。