早いものでもう年末。今年は10月半ばまで暖かかったので、秋をすっ飛ばしたイメージ。そのせいか「なんか突然今年が終わる!」感じが凄い。

 しかし戸惑っているヒマは無い。せめて明るく。クリスマスも、去年よりもおいしいものを食べたり、楽しい音楽を聴いたりして、ちゃんとイベント気分になりたい!

 そこで今回は、平成女性アイドルのクリスマスソングに絞って検索してみた。浜崎あゆみの「appears」、BoAの「メリクリ」、プッチモニの「ぴったりしたいX’MAS!」、℃-uteの「会いたいロンリークリスマス」、ももいろクローバーZの「サンタさん」……。かわいい、楽しい、切ない。ワクワクとセンチメンタルの波が押し寄せてきて大変である。

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 さらにリストアップして意外だったのが、2000年代を中心に活躍したハロプロユニット「タンポポ」の冬うたの充実度。「ラストキッス」「聖なる鐘がひびく夜」「王子様と雪の夜」など名曲揃いである。

初代タンポポの(左から)矢口真里、飯田圭織、石黒彩 ©getty/時事通信社

 春の花の名のユニットに冬の名曲が多い、というのが面白い。春、私たちが元気な花を咲かせられるよう、冬に栄養を送ってくれていたような気もする。

 考え過ぎだとは思うが、一度聴きだしたら止まらない。ということで、ちょっとタンポポ巡りの旅につきあっていただけたら嬉しい。

初代タンポポの名盤「TANPOPO1」

 初代タンポポは飯田圭織、石黒彩、矢口真里の3人。モーニング娘。からのユニットとして「ラストキッス」でデビューしたのは1998年11月だ。これはモーニング娘。の3rdシングル「抱いてHOLD ON ME!」の2か月後、もっと言うと今から23年前である。

タンポポのデビュー曲「ラストキッス」

「ラストキッス」は冬の具体的な歌詞が無いが、こんなにひんやりと切ない寒さを肌に感じさせる歌は少ない。ジャケットに映る飯田圭織、石黒彩、矢口真里の3人の表情がとにかく寒そう、というのもあるのだが、それを除けても楽曲から溢れ出す冷気よ……。

 温もりが残るのは「くちびる」だけ。くっ、恐ろしくエモーショナル! 飯田圭織の声の分厚さと圧の強さはすごい。歌を歌いたい、というだけでなく「誰よりもカッコ良く思われたい」という野心も声に乗り、ネッショリ耳に絡みついて離れない。