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転売対策も重要だが…

 各方面に取材をすると、皆一様に、半導体の供給不足を含めたサプライチェーンの混乱をより深刻な問題として挙げています。「個々の転売を対策するのも大事だが、規模を考えるときちんと生産できる体制の構築を優先すべきだ」という姿勢の人もいるのです。

 というのも、もちろん「悪質転売」が品不足に拍車をかけているのは事実で、解決しなければいけないことに変わりはありませんが、極端な意見をいえば消費者の需要を受けて供給側が商品を大量に市場に出せれば需要と供給のバランスが取れ、「悪質転売」は収束していくからです。

製造と流通で起こる世界規模のトラブル

 商品(ゲーム機)がスムーズに市場にもたらされる状況は、製品を作る「製造」と、店頭まで運ぶ「流通」という2つの歯車が連動してこそ実現します。製造と流通は、不可分とすら言えるのです。

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 ところが、この2つのキーポイントには現在、それぞれで世界規模の問題が起こっています。

 まずは製造。コロナ禍で起こった半導体不足で、どこも製品を計画以上に増やすことが難しい状態が続いています。半導体メーカーが生産ラインを変更し、各企業からの問い合わせに対応し……とフル回転しても、どうしても限界はあります。iPhoneや自動車も生産台数の減少が話題になるなど、業界を横断して影響が及んでいる今、不足する半導体をめぐって企業同士による「奪い合い」が起きています。

 さらに、半導体以外の部品も、次に挙げる流通網の問題でなかなか手元に揃わない。これでは売ろうという「モノ」が、そもそも製造できないのです。

 次に流通。新型コロナウイルスによる世界規模の社会システムの変化が生じたせいで、作ったはずの製品が目的地までスムーズに運べない状況にもなっています。特に海外からの出荷は遅れが顕著で、私自身、人材の確保、商品を積むコンテナの確保にも苦労する、なかなか船が順調に出航してくれない……というボヤキを、夏ごろにも聞かされました。これでは、必死で半導体や部品を確保して、ゲーム機を製造しても、各地に送ることに苦労してしまいます。

©iStock.com

「船」ときいて、なぜこれだけ飛行機が発達した21世紀の今でも船便を使っているのか、飛行機を使えば良いじゃないか、と思う人もいたかもしれません。もちろん、船便を飛行機に切り替える手もあります。大手企業の主力商品の欠品は、消費者のブランドイメージにダメージを与えますから、実際、関係者に取材すると、ゲーム機の出荷も飛行機にしたという話もききました。