「来年はポイント合戦が激化するかもしれませんよ」
そう話すのは、ネットショップ向けのサービスを提供する関係者だ。その根拠は、アマゾンのポイント還元を強く意識した、ここ最近の施策にある。
今年の1月から「2%以上ポイントマーク」を表示し、ポイント還元商品のアピールに力を入れ始めた。8月には「Amazonポイントセントラル」を導入して、出品者側が最大50%までポイントを設定できるようにした。
さらに11月にはアマゾンのクレジットカード「Amazon Mastercard」の年会費を廃止。ポイント還元率は据え置きのままだが、主要のコンビニで買い物をした場合のポイント還元率を1%から1.5%に引き上げた。
商品点数、配送スピード、価格の安さを武器に成長してきたアマゾンが、ここにきて「ポイントを貯める」という新しい訴求軸を作り、一気にユーザーの獲得に動き出している。
ポイントの雄・楽天の牙城
一方、ポイント合戦で頭一つ抜け出しているのは楽天だ。プレスリリースによると、2020年の年間発行ポイント数は4700億ポイントを達成し、2019年比で5割増。累計発行ポイントは2.5兆ポイントにも及ぶ。
MMD研究所の調査によると、通信4キャリアの利用者のうち、楽天ポイントを利用している人の割合は、全体の42.4%を占める。2位のTポイント(15.3%)、3位のdポイント(10.1%)を大きく引き離している。
楽天ポイントの最大の魅力は、楽天市場で付与されたポイントを、あらゆる楽天グループのサービスで利用できる点である。楽天トラベルでの宿泊予約、楽天カードの利用、楽天証券での株の投資まで、すべてのサービスで楽天ポイントを活用することができる。
「楽天スーパーセール」のテレビCMの影響もあって「楽天市場=ポイントが貯まる」とイメージしている人は多い。楽天カードで買い物をしたり、5の倍数の日に買い物をしたりすれば、さらに楽天ポイントを獲得する機会は増える。楽天イーグルスやヴィッセル神戸が勝つことでもポイントが付与されるため、もはやポイントを貯めること自体がエンターテイメントになっている。
実際、楽天が公開しているブログによると、「円」を重視して買い物をする人の幸福度が32.0%に対し、「ポイント」を重視して買い物する人の幸福度は38.9%と、生活全般の「幸せ」の度合がポイントを活用している人のほうが高いことも調査で明らかになっている。