男子を生まなくてはならないという重圧
――皇位継承者の男性皇族が「皇室から離脱したい」という意志を表明する、という心配をしたことはありますか?
高市 無いです。大変な責任感と矜恃を持っておられると思います。
――将来、悠仁さまに男子のお子様が誕生しなければ現状の皇室典範では皇統は維持できません。悠仁さまに嫁がれる方には男子を生まなくてはならないという強い重圧がかかる。雅子さまにも相当な重圧がかかった。男子をお生みにならなかったことで責められた部分もあり、それもご体調を崩された一因であったように思えるのですが。
高市 国民の皆様は雅子さまを責めたでしょうか? 宮中では、私たちには想像もつかないぐらい大変なことが沢山あると思います。そうした中で、やはり精神的に相当お疲れになられたのだと思います。
男のお子さまを産まなかったからという理由で国民の皆様が雅子さまを責めたというような事実はなかったと思います。今は皇后陛下として、本当に堂々と凜とされていて「ご立派だなあ」と尊敬申し上げる存在ですよね。
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紀子さまご懐妊の一報
2005年11月、小泉政権下の有識者会議による「女性も天皇になれる、女性皇族と民間男性との間に生まれた子どもは皇位を継承できる」といった内容の報告書を受けて、皇室典範改正に向けた審議が進められようとしていたが、国会会期中の翌年2月、39歳だった紀子さまのご懐妊が伝えられ、9月には悠仁さまが誕生。皇室典範改正の議論は白紙に戻された。
後に民主党の野田佳彦内閣において、女性皇族が結婚後も皇族として残る「女性宮家」の設立が検討されたが、野田政権の終了とともにこれも白紙に戻された。
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――紀子さまご懐妊のニュースが入った時は驚かれましたか?
高市 「嬉しいなあ」と思いました。ご懐妊という明るいニュースで、とてもワクワクしましたよね。「お元気で生まれてきていただきたい」と願いました。
――安倍政権では男系男子での皇位継承が強く支持され、女性天皇、女系天皇、女性宮家について議論されませんでした。女性宮家の設立にも高市さんは反対ですか?
高市 女性皇族が結婚後、ご希望なさったなら、ご本人のみ元皇族として特別なご公務に就かれるというような形があればいいと思います。ですが、女性宮家ということになると、様々な問題が出てくると思います。宮家を維持していくのは大変なことですから。それに対する国民の皆様の理解といったことも考えなければならなくなります。
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ノンフィクション作家の石井妙子氏が聞き手をつとめた「高市早苗『女性天皇には反対しない』」の全文は、「文藝春秋」2022年1月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています。
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