「文藝春秋」2022年1月号より「高市早苗『女性天皇には反対しない』」(聞き手・石井妙子氏/ノンフィクション作家)を一部公開します。(全2回の2回目/前編から続く)
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女性天皇は肉体的にも精神的にも大変
――皇室への思いが強まったのは政治家になってからですか?
高市 いいえ、子どもの頃からだと思います。天皇陛下は特別な方だと思っていました。
――奈良県の出身ということも、関係していますか。
高市 あるかもしれません。子どものころから橿原神宮には毎年お参りをしていましたし、天皇陛下の勅使が毎年、橿原神宮にお出ましになるのも見ていましたから。
――国民の間では女性に天皇になって欲しいという「待望論」が強まっているように感じますが。
高市 国民の皆様の間で待望論が強まっていますか? 私は承知していません。どんなアンケートでしょうか。内閣府が行ったものですか。
――いえ、新聞社や雑誌社、テレビ局が行ったものです。一例ですが、NHKが2019年9月に行った世論調査では女性天皇に賛成する人が74パーセント。特に18歳から29歳までの若い世代では90パーセントが賛成でした。また、女系天皇にも全世代において71パーセントの方が賛成、という結果でした。
高市 その調査については、私は承知しておりませんが、どうなのでしょうか。今を生きる私たちの世代で、連綿と守り続けてこられた世界に例を見ない貴重な皇統を絶やすことを安易に考えるべきではないと思います。
私は、女性天皇に反対する立場ではありませんが、現実的には女性が皇位を継がれることは、大変だろうと想像しています。多くの国事行為、外国賓客への対応、宮中祭祀……。皇位に就かれた女性天皇が激務をこなしながら、ご懐妊やご出産をされるのは、肉体的にも精神的にも大変なことだと思います。