「京都人は排他的」「陰湿で、本当のことを言わない」――ベストセラー『京都ぎらい』(井上章一著・朝日新書)もきっかけとなり、京都人に対する偏見、風説は後を絶たない。しかし、実際のところはどうなのか。仲村清司氏による書籍『日本一ややこしい京都人と沖縄人の腹の内』(光文社)から一部抜粋し、解説する。(全2回/前編を読む)

京都人は本当にイケズで排他的で、嫌味っぽいのか ©hideky/イメージマート

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「京都人は排他的」というウソ

 京都人と沖縄人に対するバッシングとして共通しているのは「排他的」であるという言説だ。しかし、『東京育ちの京都案内』(麻生圭子著・文春文庫)にはこう書かれている。

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「私は東京の頃より、友だちが増えました。相性が合うんですね。排他的ということも感じたことがありません」

 まったく同感である。僕は大学時代を京都で暮らし、その後も春夏秋冬、京都に通い、沖縄で過ごした時代も花の季節や年末には必ず京都に足を運び、初老期になってついに京都に居を構えた。

 何がいいたいかというと、その間、一度もイケズにあったことがないのである。京都暮らしに何一つ不満はないが、それでもなにかひとつあげよといわれたら、桜と紅葉は拝ましていただいたけれど、イケズだけは見たことがないことがそれだ。

 だからこそいまもってホンマモンのイケズが存在するなら、その個別体験を目の当たりにするなり、のぞき見したいとまで思っている。

 もっといえば、ワタクシは根が性悪ゆえ、「京都人にこうしたら向こうから存分にイケズを味わわせてくれる」という必殺イケズ仕掛け人になってもいいと思ったりするのだが、あるいはもしかするとイケズされているのに、そのことに気づかずに生きてきたかもしれない。