「GWは家に引きこもって良き教養エンタメでも浴びるか!」と、当初は話題の恐竜ドキュメンタリーを選択するもハマれず……。結果、同じネトフリ作品から思わぬ掘り出し物を発見したので、張り切ってご紹介します!
今週のターゲット 『ザ・プログラム:詐欺とカルトと強制収容』
〈あらすじ・概要〉米国ニューヨーク州にあった問題児向けの寄宿学校「アイビーリッジ・アカデミー」。そこでは子供を囚人扱いするだけでなく、虐待を繰り返し、人間性を奪うような更生プログラムが実践されていた。当事者であるキャサリン・キューブラー監督自らが、その実態を暴くドキュメンタリー。
スティーヴン・スピルバーグ総指揮で今年3月の配信以来大評判の『ダイナソーズ:恐竜の時代』(全4回)を観ました。が、イマイチのめり込めなかった……。明確なダメポイントは無いし、進化史的にアツいマイナー生物にスポットライトを当てる展開も良し、名優モーガン・フリーマンによるナレーションも良いのですが、微妙にドラマ仕立てで描かれる恐竜たちの生存競争ライフと「さすがに想像でしょ」感のある習性描写の連打がどうしても気になって、個人的には萌えるに至らなかった。とはいえ本作、ネットの声を見るにライト層からコア層まで満遍なく恐竜ファン絶賛の嵐なので、いやぁ困ったな。居場所が無いぞ!
……ということでターゲット変更! 同じくネトフリのシリーズ『ザ・プログラム:詐欺とカルトと強制収容』(全3回)を観たところ、これが凄い! いわゆる“アメリカの実話犯罪もの”ですが、事件告発にとどまらず社会の暗部を突く超硬派作品。製作は2年前ながら、今後ますますカルト的な原理で経済が動くようになりそうな現況を撃つ内容で、必見なのであります。
キリスト教を背景に、というか口実にした若者対象の擬似矯正施設――80年代に事件を起こした「戸塚ヨットスクール」をもっとヤバくしたような――をめぐる問題を扱った本作。特色は、その施設の生存者(と言うべきだろう)たちが自ら調査・取材した実録作品であることです。
第1回では施設で行われていた暴力的・非人間的な更生プログラムの実態を描き、「その目的とは?→洗脳だ!」と第2回に入り、カルト特有の洗脳テクニックの脅威に踏み込む。そして「洗脳は、行政や政治と結託した大規模利権システムの“燃料”として不可欠だった!」と解き明かし、第3回でガチの核心突きと新自由主義的な悪に対する告発を展開。これがまさに圧巻。昨今、トランピズムによる崩壊と腐敗の話ばかり聞こえてくるアメリカですが、こういう市民の底知れないパワーがときおり炸裂するのもまた「これぞアメリカ!」。感嘆至極です。
とにかく何がマズいかといえば、反抗期の我が子に手を焼き、宗教的な圧も加わって自分では対応不能と思い込み、子供の精神的成長にとって一番肝心な時期を、その道のプロを装う詐欺師に丸投げしてしまう親の姿勢でしょう。高額な費用を払って得られる結果は我が子の精神の破壊だけ。しかもそれを目の当たりにしても怒らず立ち上がらず、偽善的な正常性バイアスに閉じこもって終わり、の親が多すぎるという実態。ゆえに大規模詐欺カルトシステムは今日も安定稼働を続けてしまう。
そして、いくら完璧に告発しても黒幕は逃げ回るばかり。だからこそ監督たちは、注目度抜群のネトフリで「世に問う」作戦に出たのです。本作公開後、事態には変化があった様子。これぞメディアの正しき活用法。じつに天晴れ!



