「また若者の難病恋愛もの?」と、食傷気味になるそのお気持ち、よ~くわかります。でも映画の食わず嫌いはもったいない! 道枝駿佑&生見愛瑠が贈る青春映画の“真価”を、忖度なしにビシッと調査してきました!
今週のターゲット『君が最後に遺した歌』
〈あらすじ・概要〉詩を書くのが趣味の青年・春人(道枝駿佑)と文字の読み書きが困難な「発達性ディスレクシア」を抱えながらも音楽の才能を持つ綾音(生見愛瑠)。二人は詞と曲を共作し惹かれ合うが、その恋はたった10年間の運命だった。一条岬による同名小説を映画化した純愛ラブストーリー。三木孝浩監督。117分。公開中。
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正直に白状しましょう。第一印象は、「また若者向けの恋愛映画か~。しかも今どき難病もの? 似たような作品をいくつ作れば気が済むの。そもそも主演俳優のファン以外、誰が見るんだか」。すみません、相当、斜に構えてました。調査会場も、若者が多そうという理由でTOHOシネマズ渋谷をセレクト。サービスデーの水曜15時台、客席は若いカップルや女性同士のグループで半分ほどが埋まっている完全アウェー空間です(笑)。
本作は、『ほどなく、お別れです』が大ヒット中の三木孝浩監督作。主演の道枝駿佑とは『今夜、世界からこの恋が消えても』(22)に続くタッグとか。原作者も同じ。脚本を手掛けたのは『君の膵臓をたべたい』(17)の吉田智子。これらの情報だけで、好きな人にはたまらないラインナップなんだろうなあと、またもやひねくれた態度でスクリーンと向き合うこと30分。早くも、私のやわな涙腺はあっけなく決壊したのでした……。
詩作を密かな趣味とする男子高校生と、文字の読み書きが困難な「発達性ディスレクシア」という障害を抱えつつも人々を惹きつける歌声を持つ少女。二人が詞と曲を共作しながら距離を縮めていく10年間が丁寧に描かれます。
「なにわ男子」きってのイケメン道枝氏は、本来のキラキラオーラを封印し、不器用な普通の青年を好演。その透明感でヒロインの存在感がより際立つという構図でした。
特筆すべきは、そのヒロインを演じる、めるること生見愛瑠(ぬくみめる)の素晴らしさ! なんと本作のために約1年にわたるボイストレーニングとギターレッスンを積んだそうで、劇中の歌唱&演奏はお見事。バラエティーでの姿とは全く違った一面にびっくりでした。ストーリーは題名からお察しの通りの展開になるのですが、そんな過酷な運命を背負ったヒロインを瑞々しく、かつ力強く演じきったその姿は、単なる“お涙頂戴”には終わらない説得力を持っていました。
それを支えるのが音楽です。担当したのは、日本を代表する名プロデューサー・亀田誠治。それゆえに音楽映画としての質の高さも保たれているというわけです。終盤、めるるによる劇中歌が響き渡る頃には周りの女性たちに負けじと鼻をすすり、帰り道では音源をダウンロードして聴き入るほど。意外や意外。日々のストレスで乾ききった大人の心にも深くしみわたる、良質な青春&音楽映画でした。



