警察からは「土人」と呼ばれ、1970年代には結婚差別や「琉球人お断り」を掲げる飲食店も――こうした「沖縄差別」は、今も形を変えて残っている。仲村清司氏による書籍『日本一ややこしい京都人と沖縄人の腹の内』(光文社)から一部抜粋し、解説する。(全2回/続きを読む

今も残る「沖縄差別」 ©yuri_im/イメージマート

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「沖縄県民は飲み会のシメにステーキを食べる」という真っ赤な噓

 沖縄に在住していたときに、沖縄の飲食をとりあげた番組を制作したいということで、僕も番組担当者からコメントを求められたことがある。その人いわく、

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「沖縄の人たちは酒を飲んだあとにラーメンでなく、ステーキを締めで食べながらまた飲み直す」

 というものだった。僕が沖縄で文筆活動を続けていたから依頼があったのだろうが、はっきりいう。沖縄人がアルコールを飲んだあと、締めにステーキを食べるなどという食習慣は断じてない。沖縄には飲み友達もたくさんいるが、飲んだあとにステーキで締めるなんてことは一度もやったことがない。

 なぜ、そんな都市伝説が生まれたのかを解明するのはたやすい。沖縄のステーキハウスは深夜も営業している店が多く、早朝まで開けているところも少なくない。つまり、ステーキハウスながら、遅くから飲み始めた人たちや、飲食店などのシフト制で夜遅く勤務を終えた人たちの飲食の場にもなっているのだ。

沖縄県民は、別に「シメ」でステーキを食べていない ©snowleopard/イメージマート

 事実、メニューもステーキだけではなく、フライドチキンやフライドライスやタコスなどの単品もあるし、ドリンクもビールはむろんのこと、ワインや泡盛までそろっている。