1970年代まで「沖縄差別」が当たり前にあった
しかし、戦前から沖縄差別は社会問題化するほど顕在化していて、沖縄人のことを「琉球人」「リキ人(琉球人)」と呼んで結婚差別をしたり、「琉球人お断り」という札を下げたりした飲食店が70年代まであった。
2016年には東京に異動になった琉球新報の記者が住居を探していたときに、家主から「琉球新報の人間には貸したくない」と入居を断られたことがあった。
本書の主旨である「ややこしい京都人と沖縄人の真実」を書くきっかけになったのは、京都人へのバッシングや沖縄人に対する偏見も大きな要因になっている。
「ややこしい人たちやなあ」ですめばお笑いにもなるが、他府県人に対する偏見やメディアによる真実のねじまげが激化すれば差別に発展する。
たとえば「京都人はイケズ」というフレーズは都市伝説を超えて日本全国にあたかも真実のように蔓延している。これが曲解されれば社会問題になるおそれもある。
仮に京都出身の人が他府県に引っ越しをし、子どもが転校した場合のことを考えていただきたい。「おまえ、京都人か。だったら性格もイケズだろう」と茶化され、イケズというあだ名でもつけられたら差別事件に発展する。
「沖縄人は中国に帰れ!」「朝鮮人は朝鮮に帰れ!」というデモ行進が現実に起きている世の中である。残念ながら日本は差別や偏見の自浄能力の低い国で、それゆえ個人的には民度の低い国と思っている。
本来なら、京都人がイケズというならその根拠を示せといいたい。沖縄人が反日で土人というなら、なぜそう思うのか証拠をあげなさいといいたいのである。