国内最大の暴力団「6代目山口組」と「神戸山口組」との10年続いている対立抗争。最近は派手な事件は発生していなかったが、6代目山口組が4月7日に兵庫県警に抗争の終結宣言と受け止められる「宣誓書」を提出したニュースは界隈を駆け巡った。
分裂抗争が始まったのは、1915年に創設された山口組にとって100周年のメモリアルイヤーとなるはずだった2015年のことだった。110周年となる今年、6代目山口組は分裂の汚点を解消することができるのか。
「宣誓書 この度は全国の任侠団体の申し出により山口組は処分者の井上、入江、池田、岡本、宮下との抗争を終結することにしました 尚山健組処分者の織田とも今後一切揉めることはしません 一般の市民にはご迷惑お掛けしました 高山清司 執行部一同」
6代目山口組本部長の森尾卯太男、若頭補佐の安東美樹、津田力らの最高幹部3人が同日、兵庫県警を訪れて提出したのは、上記のような趣旨の宣誓書だったという。宣誓書にある井上とは神戸山口組組長の井上邦雄を指し、続く入江(宅見組組長)、池田(池田組組長)、岡本、宮下らも6代目山口組からみた“造反者”にあたる。
「処分者」として言及されている織田は神戸山口組の中核組織だった山健組の最高幹部を務めた人物だが2017年に離脱し、現在は絆会を率いて独立して活動している。
「通常、こうした書面にはトップの司忍組長の名前が記載されるが…」
首都圏に拠点を構える指定暴力団の古参幹部は宣誓書について、6代目山口組ナンバー2の若頭の高山の署名があるところに「違和感がある」との感想を述べる。
「通常、こうした書面にはトップの司忍組長の名前が記載されているものだ。それでこそ、重みがあるということになる。ただ、今回の場合は高山のカシラ(若頭)が自分の名前を記すことに意味があるように見える」
山口組が司忍を頂点とする現在の6代目体制になったのは2005年。組長と若頭というツートップの役職を名古屋市に拠点がある弘道会出身者で独占した異例の人事だった。高山は若頭として強権的な組織運営を進めたが、前出の古参幹部は「分裂劇に責任を感じているのでは」と推測する。