「文藝春秋」2022年1月号より「高市早苗『女性天皇には反対しない』」(聞き手・石井妙子氏/ノンフィクション作家)を一部公開します。(全2回の1回目/後編に続く)

◆ ◆ ◆

皇統の維持をどう考えていくのか

 秋篠宮家のご長女・眞子さんの結婚と渡米という出来事があり、12月には天皇家のご長女・愛子さまが20歳の誕生日を迎え、成年皇族となられた。今、皇室への、とりわけ皇統への関心が、国民の間で非常に高まっていると感じる。

 現行の皇室典範では「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と規定されており、愛子さまに皇位を継承する資格は与えられていない。これまで幾度か、「皇室典範を改正し、女性天皇、女系天皇を認めるべきだ」といった議論が交わされてきたものの、今に至るまで改正されることはなかった。

ADVERTISEMENT

12月5日、成年行事に臨まれた愛子さま ©JMPA

 皇位継承順位の第1位は秋篠宮さま、第2位はそのご長男である15歳の悠仁さまである。だが、国民の間には、天皇の長子である愛子さまが天皇になることを望む、「女帝待望論」の声も聞かれる。また、将来、悠仁さまがご結婚なさり男子が生まれなければ皇位継承者が誰もいなくなることを懸念する声もある。

 今後、皇統の維持をどう考えていくのか。9月の自民党総裁選では、4名の候補者のうち岸田文雄氏と高市早苗氏の2名が「皇位は男系男子で維持されるべきであり、旧宮家の皇籍復帰を支持する」と述べた。今回、高市氏に改めて真意を尋ねた。

――2004年、小泉純一郎内閣において「皇室典範に関する有識者会議」が設置されました。その際には「女性、女系天皇を認める。皇位継承は長子優先」とする報告書が提出され、それを受ける形で国会でも審議が始まろうとしていた。当時も、高市さんは「男系男子の伝統を守るべき」と予算委員会で主張しました。男系男子に一貫してこだわってきた理由を改めて教えてください。

高市早苗氏 ©文藝春秋

高市 令和22年には皇紀で数えると2700年を迎えます。それだけ長い歴史のなかで大変な努力をしながら、初代神武天皇から繋がる血統、つまり、男系男子という万世一系の皇統を守り続けてこられたわけです。私は、126代も続いた皇統が、天皇陛下の権威と正統性の源だと考えています。

 世界の王室にも比類がありません。歴史上の皇室や王室の中で現存し、かつ世界最長の歴史をもつご皇室であり、皇統が維持されているからこそ、日本人は天皇陛下を別格の存在として尊敬し、誇りに思ってきました。日本人が先祖代々奉じてきた皇統を絶やして、ひとたび女系に変えてしまうと、元には戻せなくなってしまいます。