側室制度は認められない
――男系男子こそが日本の皇統の歴史だ、というご意見ですが、歴代天皇の約半数が側室を母に持つ庶系(正妻の子どもではない。庶子)の天皇です。大正天皇も明治天皇も孝明天皇も仁孝天皇も皆、側室の産んだ男子です。天皇ひとりに多くの側室がいた。男系男子は側室制度がなければ維持できないという意見があります。戦後になって皇室典範が改正され庶子は皇位につけなくなりました。男系男子の伝統を守るには、側室制度という伝統も復活させなければ無理なのではないでしょうか。
高市 側室制度の復活などは、考えたこともございません(笑)。
――その理由は?
高市 理由もなにも。明治31年の『民法』で重婚が禁止され、一夫一婦制になりました。『戸籍法』でも「妾」が削除されました。ご皇室でも、昭和天皇以降は側室制度が廃止されています。今からご皇室だけが側室制度を導入するということになると、国民の皆様の敬愛の情というものが薄れていく気がしますね。昔はそれで良かったのかもしれませんが、側室制度について、今の日本の法律で認められるかといったら、そうじゃない。そこは大正時代までの価値観と変化したところです。
――価値観の変化に合わせて制度を変えるということならば、女性が帝位を継いでもいいのではないか、という議論も成り立つのではないでしょうか。戦前と違って今は女性も高等教育を受けられるようになり、男女差別をしてはいけないという認識が広がっていますが。
高市 私は、女性天皇には反対をしていません。女系天皇に反対しているのです。「女系に移った場合、海外では王朝の交代とみなされる」という指摘もあり、世界と広く関わる時代にあって、2600年以上の伝統を持つ国家元首がおられることの価値は誇るべきものであり、私は、大切にしたいと思います。
また、よく「男女平等だから」といった価値観で議論をなさる方がいらっしゃいますが、私は別の問題だと思っています。男系の祖先も女系の祖先も民間人ですという方が天皇に即位されたら、「ご皇室不要論」に繋がるのではないかと危惧しています。「じゃあ、なぜご皇族が特別なの?」という意見も出てきてしまうかもしれません。そういう恐れを私はとても強く持っています。
(後編に続く)
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