芦屋市の“車いす議員”長谷基弘氏(63)。2021年11月、市議会で「立って歩くのを見た」と発言した公明党の徳田直彦市議に対して、名誉棄損容疑で異例の刑事告訴に踏み切った。
一方、地元では長谷市議が「歩くのを見た」という目撃談が複数上がっているのも事実だ。取材では「この目で見た」という直接の目撃者に、当時の様子について話を聞いてもいる。
そのほかにも路上に車を停めて、松葉づえをつかずに自動販売機で飲料水を購入する動画が流出。歩行の可否をめぐり、「政治的なパフォーマンスではないか」といった様々な憶測が飛び交っているのだ。(全4回の2回め。#1、#3、#4)
長谷市議に直撃「歩いていると言われるのは心外」
こうした一連の騒動について、長谷市議は何を思うのだろうか。取材班が本人を待っていると、車いすに乗った長谷市議が現れた。動画と同様に赤いジャンパーを着ている。
長谷市議は突然の取材に驚いた様子だったが、記者が差し出した動画を見ながら解説を始めた。
「……あー、装具している状態やね。これくらいやったら歩けますけど、何十メートルとか歩くのは、ちょっと無理。……日本の障がい者の方で、装具をしながら歩く方はたくさんいらっしゃいますね。それを以て、立って歩いていると言われるのはものすごい心外ですね。
私は手術を6回しています。車いすの人って全員が立てないと思われるのが、びっくりします。それは全くの間違いで、ちょっと歩ける努力をしている人もおるし、装具をちょっとつければ歩くことが可能という時もある。それは、状況は色々ですもん」
長谷市議に障害者手帳を見せてもらうと、現在は身体障害者障害程度等級表による級別で「2級」で、車いすを使うこと自体は「妥当と言える」(医療関係者)ようだ。
手術証明書によると、2005年~2012年までに7回にわたって、左膝や左大腿骨の手術を行っている。長谷市議によると、2005年頃までは10~15メートルを歩くことができたというが、それ以降は段々と歩けなくなったという。