メジャー4年目のエンゼルス大谷翔平が2021年、本物の「二刀流」選手として世界中の野球ファンを魅了した。本塁打王のタイトルこそ逃したものの、打者として46本塁打、100打点、26盗塁をマークし、投手としては23試合に先発し、9勝2敗、防御率3.18、156奪三振。ベーブ・ルース以来、103年ぶりとなる「2桁本塁打&2桁勝利」は来季以降に持ち越したとはいえ、これまでの球界の常識を覆す成績を残した。

「1年間大きなケガなく出続けられたのは良かったと思います。すごい楽しい1年だったかなと思います」

 では、2022年以降も同じような成績を残すことは可能なのだろうか。

ADVERTISEMENT

 無論、何の保証もない。ただ、大谷は自ら目指すべき数字を挙げようとしないだけでなく、自分の中に限界点を定めていない。「自分で自分を評価しない」と言い切り、「求める結果は、ベストを尽くした先にある。やることをやっていれば次につながると思っています」と、胸の内を明かす。

大谷翔平 ©AFLO

オールスターにはDHと投手の両部門で選出

 18年のメジャーデビュー後は、右肘の腱を移植するトミー・ジョン手術、左ヒザの手術など、投打の両面で常に不安を抱えながらプレーを続けてきた。迎えた4年目の21年は、オフシーズンに体力強化を徹底し、満を持して万全に近い状態で春季キャンプを迎えた。「ベストを尽くした先」を見つめてきた結果だった。「二刀流」のフル稼働は、エンゼルスを率いる名将ジョー・マドン監督にとっても大きな挑戦だった。コロナ禍のため、20年の公式戦は60試合に短縮されたが、21年は通常の162試合に戻った。

 果たして、年間を通して「二刀流」を継続できるのか。同監督は大谷と緊密にコミュニケーションを取りながら方策を探った。春季キャンプ中には、DHを解除して先発する「リアル二刀流」をはじめ、これまで回避していた登板前日、登板翌日のスタメン出場をテストした。過去の指導者が維持してきたリミッターを外し、より多くの出場機会を探った。