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【新音声入手】親密企業の参入を指示 平井卓也デジタル相に官製談合防止法違反の疑い――2021年BEST5

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平井氏と同郷、AI研究の第一人者

「松尾先生」とは、東京大学工学系研究科の松尾豊教授(46)で、AI研究の第一人者として知られる人物だ。

「松尾氏の出身地は、香川県。平井氏と同郷ということもあり、2015年頃から親交がありました。2020年12月23日には、平井氏が定期開催している朝の勉強会に、松尾氏がゲストとして参加するなど、親密な間柄です」(IT業界関係者)

松尾豊教授 ©共同通信社

 その松尾研究室から誕生したベンチャー企業が、画像認証サービスを手掛ける「ACES」である。

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「ACESは2017年、松尾研メンバーの東大大学院生が起業。松尾氏自身も顧問として参画しています」(経済部記者)

 デジタル庁関係者が言う。

「デジタル庁新設に伴う業務は今後、随時発注されていきます。デジタル政策の司令塔だけあって、最新システムの導入を目指している。その一つが、優れた顔認証技術など高いセキュリティレベルが求められる入退室管理です。当然、契約には高い透明性が求められますが、平井氏は『入退室管理はNECではなく、松尾先生のベンチャー、ACESと一緒にやれ』などと個別の社名まで出して、指示をしてきたのです」

親密な関係の平井氏と松尾氏(右=平井氏のインスタグラムより)

 元会計検査院局長で、日本大学客員教授の有川博氏が指摘する。

「入退室管理のようなシステムは本来、競争入札で事業者を公平に選定するものです。平井氏の発言は、いわゆる官製談合防止法に違反する疑いがある。同法の第2条5の2では、国の幹部を含む職員が『契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名すること』『その他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること』を禁じています。まして、大臣は発注機関の責任者。同法に違反した場合、発注機関の職員には5年以下の懲役または250万円以下の罰金が科せられますが、大臣に刑罰が及ぶ可能性もあります」