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 どちらかというと、ショートの頭上に打つようなバットの軌道を持っている。バットコントロールが天才的なだけに、器用すぎることが欠点でもある。ボール球でも当ててヒットにできてしまうのだ。すると、どうしてもバットのヘッドが体から離れ、バッティングのリズムが崩れてしまう。

 一度バランスを崩すと、元に戻すのが難しい。もっと大きく育て切らなくてはいけなかったかもしれない。

巨人・岡本和真が体現する新たな四番打者像

 ならば、阪神と巨人の違いはどこにあるのか。なぜ、巨人は四番が育つのか?

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 高橋由伸は監督最終3年目の2018年、プロ4年目の岡本和真をレギュラーに定着させ、第89代・巨人四番打者としてもデビュー。その2018年から4年連続30本塁打90打点を達成している。

 

 巨人には川上哲治さん、長嶋茂雄さん、王貞治さん、原辰徳、松井秀喜、阿部慎之助ら連綿と続く巨人の四番打者の系譜がある。

 岡本は、史上20人しかいない通算400本塁打・阿部慎之助の四番打者像も直接見て、四番のプライドをしっかりと胸に秘めている。岡本のこんなインタビューをスポーツニュースで見たことがある。

「歴代の松井秀喜さんのような四番にはなれないかもしれません。でもチームが勝つためなら、一死走者三塁で、わざと詰まったショートゴロで打点1でもいい。チームの勝利に貢献する、僕にしかできない四番打者像をめざすんです」

 2019年・20年は原・巨人の2連覇に四番打者として貢献。2020年にはついに本塁打王と打点王を獲得した。巨人の日本人右打者の本塁打王は実に1958年・61年の長嶋茂雄さん以来だ。

 歴代巨人の四番と同じく、チームを優勝させるために何をしなければいけないかを、もう岡本はわかっているようだ。泥くさい四番打者像を口にしたが、岡本は一発で試合の雰囲気を変えられる。立派の一語に尽きる。