オープン戦で12球団最多の6本塁打、セ・リーグの新人選手で史上初となる開幕2カード連続本塁打、田淵幸一氏が保持していた球団新人最多本塁打記録の52年ぶりとなる更新……。惜しくも新人王こそ逃したものの、シーズン前半戦での活躍は圧巻だった佐藤輝明。
大器の片鱗を見せつけた2021年シーズン。これからの佐藤輝明は選手としてどのように成長していくのだろうか。ここでは掛布雅之氏の著書『阪神・四番の条件 タイガースはなぜ優勝できないのか』(幻冬舎新書)の一部を抜粋。ミスタータイガースが考える佐藤輝明の未来像について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)
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三振を減らして「四球+安打=200」をめざせ
江夏豊さんが佐藤のことを次のように指摘していた。まさにそのとおりだと思う。
「どんなに三振を食らおうが、打者でいちばん大事な『バットを振る』という姿勢が素晴らしい。投手は『投げる腕を振る』、打者は『バットを振る』のがいちばんだ。あとは今後、責任ある打順を任せられ、三振を減らしていくことが、彼がスターにのし上がるための階段だ」
「ボール球の見極め」ができるようになれば、自然と三振が減り、四球が増えていく。やはり先述した「四球+安打=200」をひとつの目標としたい。
それに三振が多くても、好成績を残した打者は過去存在する。
プロ野球界では「新人はむやみにいじるな」という慣習があるが、矢野燿大監督も「小さく育てたくない」という気持ちが大きいと思う。
2019年の村上宗隆(ヤクルト)が好例だ。プロ2年目、リーグ三振記録を作っても全143試合に出場させた。その経験値があって、規定打席到達打者最低30位の打率.231が、翌2020年は全試合出場でリーグ5位の打率.307と急成長した。
あとは、将来的にどこを守るのかというポジションの問題だ。
右翼手でこれだけ打っていて、守備からバッティングに入るリズムを覚えつつあるが、佐藤はサードの守備も非常に魅力がある。
大山悠輔や外国人選手との兼ね合いもあるし、チーム事情もあるからこればかりはなんともいえないが、三塁手にコンバートするのであれば2022年以降、早い段階のほうがいい。本人もサードを守りたいという気持ちを持ってプロに入ったと思う。