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 取材班は2021年8月、大阪市内に住む絵里さんと母親のもとを訪ねた。絵里さんと母親は「村上が逮捕されたのは事実です」と認め、「監護者わいせつ罪はまだ出来たばかりの法律で知名度も低く、内容的に報道もされにくい。自分たちが被害者になって初めて知ったことも多かった。同じような被害に苦しむ人たちに少しでも役立つことがあれば」と取材を受諾した。

村上と自宅で遊んでいる小学生の頃の絵里さん。

突然馬乗りになって胸を…

 母親同席で行った取材で、絵里さんは幼少期から村上に受けていた“行為”について苦しそうに語りだした。

「裁判で犯罪として認定されたのは私が高校生になって以降の2つの出来事でしたが、思い返せば小学生の頃から村上はずっとおかしかったんです。それに気づいた時、一層恐ろしい気持ちになりました。

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  小学校高学年の頃から、村上に『一緒に動画を見よう』と部屋に呼ばれて、無理やりわいせつ動画を見せられていました。見たくないと訴えても『お勉強やから』と言われた記憶があります。他にも、私が寝ている部屋に入ってきて、布団の中へもぐりこんで抱きつかれたりキスされたりもしました。その度に『俺と絵里ちゃんが仲良くしすぎているとお母さんが嫉妬するから、言ったらアカンで』と口止めもされていました」

  絵里さんに卑劣な行為を繰り返す傍ら、村上は何食わぬ顔で絵里さんの小学校の授業参観や中学校の入学式にも保護者として参加していた。絵里さんの「門限」や「習い事」に関しても“父親”として意見を表明していたという。

2015年、絵里さんの中学校の入学式にも参列していた村上。着物姿の母親の隣にはピースサインをする絵里さん

 裁判で有罪とされた最初の“わいせつ事件”が起きたのは2019年の夏。絵里さんは当時高校2年生で、長年夢見ていた海外留学に出発する前日の出来事だった。

「留学先に持っていく荷物をまとめ終わってリビングでテレビを見ていた時でした。母は入浴中で、私はリビングで村上と2人でした。村上とふざけてくすぐりあいのようになったのですが、突然村上が馬乗りになって胸を触ってきたんです。さらに下着の中を手で弄り、性器に指も入れてきました。私はびっくりして村上を蹴り飛ばし『お母さんに言うで』と言いました。驚きとショックで涙が出そうでしたが、その時はぐっとこらえました。

 母に話すかどうか迷いましたが、次の日から留学で自分は家を離れる予定だったので、母に心配をかけたくないという気持ちもあり、母には言い出せませんでした。村上に『朝早いからもう寝る』と言ってリビングを出ようとしたら、去り際に村上が、『本当は気持ちよかったんやろ』『濡れとったで』などと言ってきたんです」