ワクチン接種の間隔を規定通りに、集中的に行った日本
こうした韓国での感染者の急増を受けて日本での感染者激減にも注目が集まっている。
「当初の防疫が緩かったため集団免疫ができた」という説や「外国人の新規入国を禁止したため」という説などが出ているが、鄭教授は日本でのコロナ感染者が激減した要因についてこう話した。
「要因のひとつとして考えられるのは、ワクチン接種の間隔を規定通りに、集中的に行ったため集団免疫が成立したのではないかという点です。ただ、これもあくまでも仮説です。日本からの分析を待っているところですが、今、世界で広がっているオミクロンによる感染者数も抑えることになれば、間違いなく研究対象となるでしょう」
韓国では感染力の強いオミクロン感染者が最近じわりじわりと増え、200人を超えており(12月22日時点)、感染者の増加がピークアウトする気配は見られない。
新型コロナと韓国の次期大統領選挙
そして、この新型コロナ感染の状況が来年3月の大統領選挙にも影響を及ぼすのではないかという声が上がっている。保守系の野党「国民の力」の選挙対策委員会の金鍾仁総括委員長は、「この新型コロナ事態が大統領選挙自体を呑み込むことになるやもしれない」(朝鮮日報12月10日)と危機感を表した。
昨年4月に行われた総選挙では新型コロナ対策が功を奏して与党「共に民主党」は過半数を大きく上回る議席を確保し、スーパー与党となった。同じように来年に入ると感染者数が下降をたどり、来年の大統領選挙でも総選挙と同じような現象が起きるのではないかという危惧だ。野党の支持者の間では、「政府がそのためにわざと今の状況を作り出しているのではないか」という怪談まで出回っている。
この新型コロナの状況が次期大統領選挙にどう関わってくるのか、大統領選挙を見るひとつのポイントにはなりそうだ。