アンチへの思い
――活動の中で「アンチ」にも出会うことがあるかと思います。
高嶺 ありますね。今でこそ人の言葉でイヤな気持ちになることはあまりないですけど、昔はめちゃくちゃ人の言葉に振り回されていたと思いますね。他人からの評価を自分の中の指標にしてしまっていたので。
今は“自分で満足できる作品をつくれればある程度はいい”と思えるけれど、それも今「高嶺ヒナ」が認められてきたからそうなってるだけで。逆に「高嶺ヒナ」が認められる前はいろいろ悩みました。
――どんなことに悩んだのでしょう?
高嶺 ただ「ブス」って言われるくらいならいいんですけど、明確に欠点を指摘されたり、過去の写真を引っ張り出されたりすると……昔は病んでました。とはいえ、危ない薬に手を出したり、市販薬を大量摂取したり、自傷行為に走ったり、そういうのは全然ないです。
「高嶺ヒナ」を守るには、自分自身という資本・商売道具を不用意に傷つけたり損なったりするようなことがあってはならないと思っていたので。どれだけ落ち込んでも、根幹には「自分のことを自分で傷つけてはならない」という思いがあります。
でも難しいですよね。人によってはそういうときに意図せず自傷行為に走ってしまうとか、他人を傷つけてしまうことはあると思うんです。私はたまたまデザインとか自撮りで偶像をつくることに興味が強かったから、自分を傷つけずに済んだだけかもしれません。
あとは私、昔から合理的なタイプなんです。どれだけショートカットして結果を出すか、みたいな。「高嶺ヒナ」が将来的に仕事になるなら、傷跡や自分を傷つけた過去はメリットにならないと理解していたんだと思います。
「本当に、自由に生きればいい」
――2021年10月に出演されていたNHK『Zの選択』では、「ボディポジティブ」について語る出演者に対して、高嶺さんは「究極の理想・偶像を見せる者」として対照的に描かれていたように思います。
高嶺 ボディポジティブの考え方が間違っていると考えたことはありません。それこそ、多様性じゃないでしょうか。
――ありのままを見せてもいいし、高嶺さんのように理想を追求してもいいし、という。
高嶺 はい。本当に好きに生きればいいと思います。私はあくまで“こういう姿でありたい”からこうしてるってだけなので。そりゃ仕事とかTPOの問題はあると思いますけど、私生活ならどう過ごしたっていいと思います。
【前編を読む】「完璧じゃない顔が気に食わなくて…」新世代のコスプレ女王・高嶺ヒナ(22)が明かした“外見”を突き詰める“葛藤”
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