思わず、本物のドールと見違えた。どの写真を見ても、強烈なキャラクターと独特な世界観に目を奪われる。
彼女の名は高嶺ヒナ。2021年時点でSNSフォロワー総数19万人超を誇る、人気コスプレイヤー兼ファッションデザイナーだ。女子高生シンガーAdoの『うっせぇわ』をイメージしたコスプレは、Twitter上で3.4万リツイート・約24万いいねを達成するなど大きなインパクトを残した。
そんな彼女が2021年12月22日、自身初のフォトブック『Lalka ~偶像少女~ HINA TAKANE PHOTOBOOK』(扶桑社)を発売。自ら生み出した「偶像=高嶺ヒナ」を体現すべく“完璧”に挑み続ける、22歳・女子大学生の本音に迫った。(全2回の1回目/後編を読む)
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――フォトブックは発売前からAmazonのベストセラーランキングでカテゴリ1位を獲得し、限定版も増刷が決定したと伺いました。この現状について、どのようにお考えでしょう。
高嶺 フォトブックを出したいという気持ちは、ここ2年くらいずっと抱いていて、自分で営業に出ることもありました。なので、ありがたいな、と。うれしいです。最初は出版社の扶桑社さんも「売れるかわからなくて怖い」というのが正直なところだったと思うんですけど。
出版が決まったときの正直な気持ちは「マジか」という感じでした。あまり期待しない性格なのもあって「大手だしムリだろうな」と思っていたので。
原点は「初音ミク」
――コスプレを始めたのはいつ頃からなのでしょうか。
高嶺 中学1年生頃でしょうか。初音ミクなどのボカロを好きになり始めて。ちょうど『千本桜』とか『カゲロウプロジェクト』がど真ん中でしたね。出来の悪い初音ミクの衣装をつくった思い出があります。別に誰かに見てもらうわけでもなかったですが。
中学生当時からTwitterを利用していたものの、最初は私服の自撮りをテキトーに上げる程度でした。「高嶺ヒナ」と名乗っての投稿は16歳の頃にスタートしたんですが、初音ミクの衣装づくりは、そこにつながる制作活動の原点といえるものですかね。