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――「初音ミクやボカロの曲が好き」から「それになりたい」と思う部分には、多少ハードルがある気がしますが、どうでしょう。

高嶺 確かに。でも私は結構、二次元のキャラに対して「なりたい」っていう気持ちが強かったです。当時はAKB48も好きで「まゆゆになりたい」という気持ちもありました。「好きなものになりたい」願望があったのかもしれないです。

――「なりたい」願望を形にし始めた頃は、ロリィタ系の衣装をつくっていたそうですね。

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高嶺 はい、でもやっぱり世間一般的な「ロリ」って低身長で童顔でふわふわでっていうイメージが強いと思うんですよ。自分が思い描く「ロリ」はそうではなかったんですけど、世間でいうロリはそれだから、私が戦うべき土俵じゃないというか、いちばんになれない土俵で戦っても意味が……。そこでなんかちょっと、うーん……となってしまって。

 結局「ドール系」の方が体型的にも顔的にも合ってるなと考えて今に至ります。もともとお人形とか球体関節人形とかも好きで、高校のときから集めてたりもしていましたし。ドールへの強い憧れと「なりたい」という感情から、今はほぼドール系だけのコスプレで活動しています。

写真=a jun kim

高嶺 そのドールという枠を超えて、いまは「高嶺ヒナ」という偶像に恋焦がれてる感じ。好きだからなりたいと思うし、見た目が似たドールをつくったりもしています。「模倣したい」っていう気持ちからアイデンティティを確立してきたのかもしれません。

「完璧じゃない顔がイヤで……」

――「完璧なドール」を生身で表現するにあたり、悩んだことはありますか?

高嶺 オーダーでドールを注文したことがあるんですが、メイクしたそのドールを見て「なんで(私の顔)これじゃないんだろう」とか。「ハァ、自分とは違うな」とか思うことはありました。

 あと、大学1年から2年最初のころまで「かわいい」って言われることに違和感がありましたね。完璧じゃないしメチャクチャ加工だってしてるし。現実で「かわいい」って言われても(お世辞で言ってるんじゃないの)ってイヤな気持ちになったりして。かといって「ブス」って言われたいわけでもない。葛藤してました。

 それこそ鏡を割ったりもしましたよ。完璧じゃない顔が映るのが気に食わない、という理由で。