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上野由岐子は金属バットをへし折った…ソフトボール元日本代表監督の宇津木妙子が「この子は異次元の世界で生きている」と感じた瞬間

source : 文藝春秋 2022年1月号

genre : エンタメ, スポーツ

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「この子は異次元の世界で生きている」と感じた瞬間

 上野といえば、北京五輪での「413球の連投」を思い浮かべる人が多いだろうが、私は2002年の世界選手権が印象深い。完全試合を成し遂げた試合後の記者会見。「完全試合はどの時点で意識したか」の質問に、「初回です」の回答。この子は異次元の世界で生きていると苦笑した。06年の世界選手権では、投球で金属バットをへし折るという珍記録も。誠に信じがたいことをやるのが上野由岐子という投手である。

第29回夏季オリンピック北京大会ソフトボール表彰式での上野由岐子(中央) ©JMPA

 北京五輪以降、ソフトボール競技は五輪種目から除外されていたが、晴れて2020東京五輪で復活。38歳になっていた上野は3度目の代表選出、アメリカとの決勝戦でもマウンドに立ち、胴上げ投手となった。

 肉体的にはボロボロだったと思うが、強靱な体と強い精神力で乗り越えた。歴史に刻まれた戦いとして人々の記憶に残るだろう。上野と、そしてソフトボールという素晴らしい競技との出会いに改めて感謝である。

上野由岐子は金属バットをへし折った…ソフトボール元日本代表監督の宇津木妙子が「この子は異次元の世界で生きている」と感じた瞬間

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