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「テレビがなぜか横倒しに」備品を壊されても泣き寝入り

 通常のホテルと違い、ラブホテルという性質上、防犯カメラのようなものも最低限しか備えておらず、客室で何かをされても従業員が発見するのは客が帰ってしまった後になる。宿泊者名簿のようなものも一切ないため、追跡も不可能で、被害を請求することもできない。

「備品を壊されていても全部泣き寝入りするしかないんです。テレビなんかはしょっちゅう壊されてました。雨の日に持ってきた濡れ傘をひっかけてびしょ濡れにしたり、なぜか床に倒されていたり。いったい何をしたらそうなるのかサッパリ分からないんですが。とにかく2時間の休憩で3000~4000円の料金なのに、テレビが壊されるとそれだけで数万円の出費になるから痛かったですね」

 部屋が信じられないくらい汚されていることも1度や2度ではなかったという。

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「お客さんが入れ替わるたびに清掃に入って部屋をセットしなおすんですが、困るのがすぐに清掃できないような変なものが残っていること。汚い話ですが、一番困るのがお風呂場での便の忘れ物、というか汚れ。笑い事じゃなくこれが結構多いんです。他のゴミの形跡から推測するに、そういうプレイをしているんでしょうけど、週に1、2回はありましたからね。

 厄介なのは、中途半端にお風呂の排水口に流したりして一応隠そうとするお客さんがおおいこと。でも、それだと排水口に詰まってしまうし、ちゃんとゴシゴシ洗わないとどうしても臭いが残ってしまうから、だいたい臭いで気づく。これは温泉や銭湯でも『あるある』だと思います」

客同士のトラブルも

 ラブホテルでは利用客と従業員はほとんど顔を合わせないが、客同士のトラブルも日常茶飯事だったという。

「うちの利用者はデリヘルのお客さんが主だし、どうしてもお酒を飲んでくる方が多いので、お客さんとデリヘル嬢のトラブルは多かったですね。だいたいどちらかの手が出たとかで警察沙汰になったりもしました。しかも、そういったトラブルはフロントを通さずにお客さんが直接通報するので、我々も詳細は知らないことが多いんですが」

 困るのは、風俗の客と女性との間にトラブルが起きた時に、女の人に呼ばれて風俗店の従業員が勝手にホテルに入ってくることだ。

「業者の人たちはうちのホテルを自分たちの店舗の一部だと思っているのか、勝手に出入りするんです。僕は長かったので、だいたい業者の人とは顔見知りになっていたから大丈夫なんですが、新人の場合だと、『え、あの部屋、別のお客さんが入ってるんだけど……』と焦ってましたね」