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「あのホテルは、今や自殺の名所みたいになってるんです」

 神奈川県川崎市に暮らしていた母子は、母親の夫を含む4人家族。だが、事件前日の28日、夫が仕事に行っている間に、無職の母親が2人の子供を連れて家を出たのだった。3人が歌舞伎町のホテルにチェックインしたのは、同日夕方5時半頃。宿泊した部屋が17階だったため、当日朝は、わざわざ階上の23階へ移動したことになる。

「あのホテルは、今や自殺の名所みたいになってるんです」(歌舞伎町の住人)

 実は、このホテルでは昨年5月にも、連続して投身自殺が起きているのだ。

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現場ホテルの非常階段を調べる捜査員

母親には精神疾患の「双極性障害」が

「最初は18歳の男と14歳の女子中学生の2人。その1週間後に、今度は19歳の男が飛び降りた。どちらも23階か24階あたりからでした。今回の母親も、知っていて場所を選んだのかなと」(同前)

 いずれにせよ、母親の手にかかって男児の命が失われた現実は変わらない。それも幼い妹の目の前で――。

「母親には精神疾患の『双極性障害』があった。精神障害者手帳を持ち、等級は日常生活に著しい制限が必要な2級。心中しようとした動機面の供述にも混乱がみられ、刑事責任能力の有無を慎重に調べることになる」(前出・捜査関係者)

 年が明け、男児が落命した路面の片隅には、一束の花と菓子が供えられていた。だが、ほとんどの通行人は、ここで起きた悲劇に気づくことなく通り過ぎていく。

 やがてホームレスらしき男性が現れ、現場の供え物を物色すると、手を合わせもせず、菓子を持って雑踏に消えていった。